ケイさんからのメール.ツマキナカジロナミシャク.チャドクガ.

 風が強い.こんな日には蛾は飛ばないだろう.夜回りはサボり.
 原始経典には,怠けたがる人間はありとあらゆる事を口実として怠けるものだということが書かれているが,全くその通りである.


 というわけで,「ケイの言ってみようか!」のケイさんから送られてきた画像.彼は天皇賞(わたしは珍しくTVで見ていた)でトリガミだったり(残念),実は身辺多忙だったりして大変なのだが,そういった中でわたしのことを憶えていてくれて虫画像を送ってくれる.感謝.
 どうも彼と比べると自分の怠け振りが恥ずかしい.ケイさんは「こんなクズでも生きていられるんだって嗤ってくれたらいい」などと書いているが,わたしが生きていられるのだから,彼が生きていられるのは当然であると思う.


 11月5日のケイさんからの私信の添付画像.

 左はツマキナカジロナミシャク,だと思う.わたしも出会ったことがあって,そちらは10月10日の画像
 「ナカジロ」と命名されているが,中白なのは主に♀なのであって,♂は「広く黒色をおびる」(講談社『蛾類大図鑑』,p.487)のが普通らしい.
 学名は Dysstroma citratum nyiwonis.属名は「汚れたシーツ」.何だかなあ.種小名は「柑橘油に浸された」.亜種名は調べきれず.固有名詞の属格だと思うが元々が何語由来かも分からない.


 右はチャドクガ.北海道には分布していない.
 幼虫時代の毒針毛を成虫になってまで体に付けている危険な蛾である.成虫の毒性が問題になるのはこのチャドクガとドクガだけ.モンシロドクガやキドクガも毒針毛を持つらしいが発生数が少なかったり山地だったりするので数に入らない.要するに蛾の成虫ではこの2種(チャドクガとドクガ)以外恐れる必要は全くない


 (苫小牧でドクガが出るのは8月限定.この期間,夜回りの時にはわたしは長袖に襟をピッタリ絞めて,帽子を目深く被っている.灯火に興奮したドクガが体当たりしてくるかもしれないからである.ク○○タ採りの親子連れはそれに比べて実に軽装である.おそらく彼らはドクガを知らないだろう.ドクガの沢山とまっている灯火の下でク○ガ○を腕も首もむき出して探しているのをよく見かけた.気が付いた時は教えることにしている.
 そういえば今年はついにドクガを見なかった.○ワガ○も例年よりも少なかった.ドクガが出てこないような環境・自然状態では○○○タだって出てこないのである).


 街中で被害を与えているのはチャドクガが主のようだ.食草がツバキ・サザンカということで,都会の庭に適応したものである.北海道では育たない庭木なので北海道ではチャドクガは出てこない(その代わりにハマナスにドクガが付く).
 幼虫の毒毛は風に飛ばされてそこの家人をかぶれさせたり,庭遊びの犬猫の体について室内に運ばれることがあるそうである.
 なんとも厄介な話だが,何と言っても天敵の少ない環境なのだから仕方ない.嫌ならこれらの樹を植えなければいいだけのことではある.