エゾヒグマの分類。Hastina属・Euhampsonia属修正。アオセダカシャチホコの図版。

 今は大学も営業が大変である。教授たちが研究に専念できるご時世ではないらしく,昨日は北見の高校で北海道大学の宣伝のための出前模擬授業があった。本来招かれざるわたしが,顧客である高校生に混入して,しかも一番前の席を陣取って何か質問してやろうと身構えていたのは言うまでもない。
 
 北海道のヒグマについて,ミトコンドリアDNA解析による系統分類から地理的移動を明らかにするという講義。
 亜種エゾヒグマ Ursus arctor jezoensis (北海道の大熊の雄熊)に3系統があるのは頭骨の測定によってすでに知られていたという。今回の話は,この3系統と同系列のヒグマのそれぞれをヨーロッパ・北アメリカに見いだしたというもの。これによってヒグマの歴史的な移動経路を推測できる。
 よく分からなかった。北海道亜種が亜種分類されているからには,ヨーロッパやアメリカの亜種とは形態などに違いがあるのだろう。遺伝的に近いのなら亜種認定されるほどの差異があるのだろうか? 蛾の亜種分類は結構シビアだぞ?
 終了後。

 Q:エゾエーンシス亜種は他の亜種に対してどのような形態の違いがあるのですか。
 A:分布地域による亜種区分です。記載的には「小さい」というぐらいです。
 Q:わたしは虫の分類に関心のある人間なのですが,哺乳類の亜種にはそのような分布によるケースがあるのですか。
 A:虫のようには交配することが難しいので,地理的なものが多いです。

 昆虫の亜種分類で交配が行われるかわたしには分からない(他種を撚り出す時にペアリング実験をが行われるのは知っている)が,すくなくともクマについてはその程度の基準での亜種分類だったのだな。実践的には違いない。
 これは勉強になった。専門家の話を聞くのはだから面白い。
 
 HPの手直しが続く。

 せっかくだから,アオセダカシャチホコの原記載の図版。

オーベルチュールの1877,Études d'entomologie 5。http://biodiversitylibrary.org/page/10426388
だいぶん感じが違う。前翅の色の濃い部分がずいぶん強調されている。
 わたしの撮った写真ではこう。再掲。

 ついでだからどんどん貼ろう。松村松年の1921,新日本千蟲圖解 4。http://biodiversitylibrary.org/page/34535943

モノクロ絵なのでよく分からない。
 つぎはザイツ。1915, Die Gross-Schmetterlinge der Erde 2。http://biodiversitylibrary.org/page/9921506

ああ,なるほどね。まあ,そういうものなんだな。