トプセル(2)。『四足獣誌』のねらい。

> トプセル(1)。エドワード・トプセル(Topsell),年譜。 https://biodiversitylibrary.org/page/44211994 さて,それで,トプセルである。読んでいくのは『四足獣誌』の「献辞」。 当時の本には序文代わりに王侯貴族や高位聖職者への献辞がつく。箔付…

Furcula属修正。

仕事が詰まってくる前の今がチャンス。トプセルもボチボチやっているのだが,HPも進めなければならない。 というわけで,Furcula属の修正。 ホシナカグロモクメシャチホコの命名者訂正。そのボルクハウゼン Borkhausen の原記載文を読んだが命名に関わる記…

トプセル(1)。エドワード・トプセル(Topsell),年譜。

トプセルと言っても,科学史業界か怪物絵マニアにしかなじみがなさそうだ。 イギリス17世紀初頭の牧師。スイスの博物学者ゲスナーなど他の学者のほぼパクリではあるが(当時は,真理は純粋に普遍的なものである),目を奪う挿画を多く載せた*1動物図鑑本『…

Zaranga属更新。ウォーターハウスの図鑑。

久しぶりのブログ。生きていたのか死んでいたのか。自分ではよく分からない期間が続いていた。表向きは生きていたようである。でも油断はできない。 11月後半から精神の糸が切れていて,精神の粒のようなものがブラウン運動的な状態にあったようだ。冬の前…

エゾヒグマの分類。Hastina属・Euhampsonia属修正。アオセダカシャチホコの図版。

今は大学も営業が大変である。教授たちが研究に専念できるご時世ではないらしく,昨日は北見の高校で北海道大学の宣伝のための出前模擬授業があった。本来招かれざるわたしが,顧客である高校生に混入して,しかも一番前の席を陣取って何か質問してやろうと…

Togepteryx属調べ直し。松村松年におけるタテスジシャチホコの標準和名の混乱について。

HPのシャチホコ修正中.Togepteryx属の調べ直し。 どんどん面倒な事案が発生する。 タテスジシャチホコの属名の原記載は,松村松年, 1920, 動物学雑誌 32 379: 149 (PDF)。 すると,こう。 (二三) ハガタエグリシャチホコ Togepteryx (n.g.) velutina OBT…

ケイさんからの蛾メール。ケイさんのブログ引っ越し。モンクロシャチホコ。ウスミドリナミシャク。

今日は勤務校のマラソン大会振替休み。朝からPCに向かっている。しんどいのだけど,仕事よりはずっと楽しい。 メール箱をのぞき込む習慣をもともと持っていなかった。メールが来ても気づかずにそのままのことがしばしばあって,ある日たまたま見ると,8月…

Clostera命名者のSamouelleについて。シャチホコ書き直し中。

シャチホコガ科の幾つかを修正してうpし直し。 Clostera属について,その属名命名者のGeorge Samouelleの記事が英独をはじめとして5カ国語のウィキペディアに載っている。日本版はこういう分野では全然ダメ。 誰も翻訳しないのはいかがなものなのかはとも…

HPの記事書き直し中。

ご無沙汰でした。 考査期間になると機能が停止して,復旧までしばらくかかる。現役時代に自分が試験を受けるのはまったく平気だったのだが(午前で終わるので嬉しかった),試験対策をやって打ち合わせをして試験問題を作って印刷して試験監督をやって採点し…

Hastina属更新。平嶋義宏『学名の知識とその作り方』と「Schulz氏」。

Hastina属更新。 Hastina属 結構古い蛾なのだが図版が見つからない。ヒュブナーとザイツを除いて,ドイツ系はあまり図版に力を入れていない印象がある。 平嶋義宏『学名の知識とその作り方』と「Schulz氏」。 月刊「むし」5月号の「蛾界」を見ていて,平嶋…

ケイさんからのメール。ヒメウラナミジャノメ。Gymnoscelis属更新。

すっかりご無沙汰していた神奈川のケイさんからメールが来た。 数少ない貴重な読者であり支援者であって,絶滅危惧種である。保護の必要があるに違いないが,わたしにNPOを作ったりする力は皆無である。 教員は大変そうだと心配してくれているが,わたし…

Gandaritis属・Glaucorhoe属。

「月刊むし」の「蛾界」にそそのかされて平嶋『学名の知識とその作り方』購入。誤植と探査不足があるようなので出版社にメールを送った。出版社からの何らかの返答を待って,『学名の知識とその作り方』の感想をここにあげたい。 HPの更新。今のところ週1…

蛾の学名のジェンダーについてまた考えた。Eustroma属・Evecliptopera属・Gagitodes属。

エウピテーキア(カバナミシャク)後。 Eustroma属 属名のジェンダーが今回の『標準図鑑』で「女性」とされたものの一つ。何度か書いているように,ラテン化されていないギリシア単語そのままの属名はもとのギリシア語での性別とするのが命名規約。‘stroma’…

蛾への献名について。シーベルスとブラニツキ。

ルーミスシジミやヤンコウスキーキリガとかプライヤエグリシャチホコとか,外国人名が付いている和名がしばしばあって(当ブログの読者ならともかく)一般人には何だか分からなかったりするのだが,たいていは「献名になっている種小名」に由来している。す…

Eupithecia属更新終わり。絶望のカバナミシャク(2)。Eupithecia tripunctaria(シロテンカバナミシャク)勉強会。

相変わらず,「八幡の藪巡りな原記載文探し→古風な外国語とその綴り字に苦悶→そもそもあるのかないのか分からない状態での図版捜索」の魔の腕の中。それでもカバナミは何とか完了した。偉い。 Eupithecia属 (r〜s) Eupithecia属 (t〜z) それで。 Eupithe…

Euphyia属,Eupithecia属(a〜q)まで更新。絶望のカバナミシャク(1)。

カバナミ調べがやっぱりしんどい。職場のPCが年度替わりでサーバーが異常に重くてすぐにタイムアウトする。夜は仕事の夢で毎晩うなされる。 でもHP更新。 Euphyia属 フタテンツマジロナミシャク Euphyia unangulata についてHPでは おそらく,前翅の黒…

ウスベニスジナミシャクに関する訂正。Episteira属・Esakiopteryx属・Euchoeca属更新。

とにかく,こちらのブログにあげないと検索エンジンがインデックスしてくれない。HP更新の続き。 Episteira属 これも「複合属名」。Steirophora属由来でそっちは問題ない。 以下はSteirophora属の話。この属は,ウォーレン(William Warren。参照:William…

地味シャク色々更新(1)。Entephria属・Epilobophora属・Epirrhoe属・Epirrita属。

書きためていた分を放出してHP更新。 Entephria属 北海道にはシロテンサザナミナミシャクが分布するが,高山蛾なので全然知らない。種小名の通り,交尾器で区別するらしい。説明は,『標準図鑑 1: 264』の方が詳しい。 ♂交尾器(Fig. Nsha4-2):前種[=サザ…

Ecliptopera属更新。後節“-pera”について Emmet 批判。

HP更新。 Ecliptopera属 学名調べに使っている本の一つ。The Scientific Names of the British Lepidoptera-: Their History and Meaning作者: A. Maitland Emmet出版社/メーカー: Brill Academic Pub発売日: 1991/01/01メディア: ペーパーバックこの商品…

Costaconvexa属・Dysstroma属更新。Dysstroma のジェンダーについて。

HP更新。 Costaconvexa属 命名者の Agenjo(あげんじょ,と読むらしい)はスペインの大物昆虫学者。参照:「Ramón Agenjo Cecilia - Wikipedia, la enciclopedia libre」(スペイン語だがgoogle翻訳でどうにでもなる。日本語でよく分からなければ,英仏の方…

Carige属・Catarhoe属・Chloroclystis属更新。Emmet・平嶋批判。

それじゃあ「TECHNOPOLIS」から。そういう世代なのである。 マニアになってくると,どのアレンジがいいとか悪いとかという議論になるらしいが,わたしはあまりこだわっていない。マニアではないのである。 HP更新。ナミシャクはまだ始まったばかり。 Carig…

Asthena属・Baptria属更新。

HPの更新。 Asthena属 いわゆる「シロナミシャク」の類。蛾は「茶地味」「縞地味」「灰地味」「白地味」といろいろと地味なのだけども,シロナミシャクは白地味。波線はあるのだけども色が淡い。眼視ではなんだか分からない。白っぽい薄茶色のものが壁に貼…

生存報告および近況報告。「みちのく会」宣伝。

時が流れる,お城が見える。1月後半から2月の時期はたいてい神経がおかしい。集中して何かすることはほとんどできない。本が読めないのでインプットもできない。職場では給金泥棒でしかない。 虫のことは進めている。少しずつだけ。 1月13日には北大に…

Macaria 属の周辺とか。

HPにばかりかまけていて,せっかく送ってもらっている画像を紹介できずにいる。ナミシャクに入りたいのだが,エダシャクがまだ終わらないのである。ムーアもモフェットもとりあえず飛んでいる。 以下エダシャク。画像追加分(細かな記述手直し・訂正は他に…

『TINAE』の,シャチホコガ科の亜科分類の最新情報が来たよ。

というわけで蛾類学会から『TINEA』の最新刊が届いた。冬の「みちのく会」で予告があった,シャチホコガ科の分子系統分析のまとめである。 Hideki Kobayasi and Masaru Nonaka, 2016, TINEA 23, Supplement 1 。 シャチホコガ科の324種の脚をもいでDNA…

vittaria をめぐる迷走。

twitterにあげた内容のまとめ直し。相変わらず学名のHPいじりである。もうほとんど実体としての蛾からは遠ざかって,記号と文献の世界に浸かりきっている。 インド産の蝶の研究者Mooreについて,おそらく標本ばかりで,自分が扱っている蝶の生態なんて見た…

エダシャク亜科の修正中。属名と種小名との性の一致について,Biston属確認。

HPの学名ごっこ。次はナミシャクで,リストはもう完成している。現在の北海道のナミシャクは76属214種が決定版だと思う。その前にエダシャクの修正を終わらせないと,ということで連休に作業中。 Alcis属の画像追加。 蛾4種の抜け画像をすべて Seitz…

フユシャク亜科 Inurois の解釈私案。

シャクガも残るはフユシャク・ナミシャク・ヒメシャクである。まずフユシャクから始めようと思っている。フユシャク亜科は日本には2属しかいない。Alsophila と Inurois。後者の方が種数が多い。とりあえず調べ始めて,Inurois でつまずいた。 最も頼りにし…

Maxates属,Mujiaoshakua属,Neohipparchus属,Pachista属,Pingasa属,Thetidia属更新。

これでHPのアオシャク亜科の修正が一段落。 Maxates属 画像3枚追加。Graeser の論文は相変わらず見つからない。ザイツ頼み。 Mujiaoshakua属 これも原記載が見つからない。日本の文献は公開されなさすぎである。 Neohipparchus属 『標準図鑑』で語尾が女…

『Theatrum Insectorum』の「蝶蛾」を読む。(5) 蝶蛾の名称について。

さて,これで,ようやくモフェットに入ることができる。 正式な本のタイトルは 『昆虫すなわち,より少さな動物の劇場。かつて,エドワード=ウォットン,コンラード=ゲスナー,トマス=ペニーから始められ,最終的にロンドンのトマス=モフェットの尽力によっ…