ウスベニスジナミシャクに関する訂正。Episteira属・Esakiopteryx属・Euchoeca属更新。

 とにかく,こちらのブログにあげないと検索エンジンがインデックスしてくれない。HP更新の続き。

  • Episteira属
    • これも「複合属名」。Steirophora属由来でそっちは問題ない。
    • 以下はSteirophora属の話。この属は,ウォーレン(William Warren。参照:William Warren (entomologist) - Wikipedia)自ら作った属で,タイプには,Steirophora punctatissima (新種)が指定されている(原記載)。自己完結である。現在は,「Phthonoloba punctatissima」になっているのだろうが(Episteria も Phthonoloba もウォーレン新設の属である。ここら辺の蛾は彼の周りをぐるぐる回っている印象。とにかく彼は属を細分化したいタイプの人なのだろうな),画像が全然見つからない。採集地がブータンだのセレベスの標高5千フィートとが書いてあるから仕方ないのかもしれない。
  • Esakiopteryx属
    • ウスベニスジナミシャクには緑のと赤茶色のと黒いのとがいて,わたしの経験では,早春(緑)→春(赤茶)と個体数が変化している。そこから,わたしは「緑が時間につれて退色していく」と考えていたが,どうやら誤りだったらしい。わたしの昔のブログを信用しないこと(気がついたものは直した)。
    • というのも,命名者のバトラー Butler(Arthur Gardiner Butler - Wikipedia。独語が最も詳しい)の原記載に「sap-green band」とあるのである。サップグリーンというは乱暴にいえば深緑。バトラーが見ているのはヨコハマから送られてきた標本のはずだから,色褪せするならしていないはずがない。はるばる海を越えても緑色だったのである。退色は起こっていない(本当は自分で捕まえてきて実験すればいいのだが…)。
    • さらに上記記載文には続きがあって,「Var.(変種) elegans」なるものが出てくる。これは現在は単なる個体変異として E. volitans と区別されていない。こうある。

前翅の基部と中央の帯は,緑色の代わりに赤茶色である。

結論。ウスベニスジナミシャクはいろいろなのである。
 Butler, 1878, Ill. Het. B. M. 3, pl. 54 からの図版。ここでは,Lobophora volitans の名称で扱われている。

 
 仕事は全然進んでいない。しかも週末は「みちのく会」である。