『TINAE』の,シャチホコガ科の亜科分類の最新情報が来たよ。

 というわけで蛾類学会から『TINEA』の最新刊が届いた。冬の「みちのく会」で予告があった,シャチホコガ科の分子系統分析のまとめである。

 Hideki Kobayasi and Masaru Nonaka, 2016, TINEA 23, Supplement 1 。

 シャチホコガ科の324種の脚をもいでDNA分析したという。大変な世界である。わたしだったら,どれがどれの脚だか絶対に混ざってしまう。
 
 『標準図鑑』では次のような亜科分類がなされている。(List-MJ 日本産蛾類総目録 [version 2]から作成)

 4亜科である。(わたしが)日本のシャチホコを整理する分にはちょうどいいぐらいの感じ。
 
 もう論文が発表されたのだから,引用しても大丈夫かな。
 前掲『TINAE』論文では,シャチホコガは4亜科から,次のように(アフリカを除く)12亜科へ再編される。(p. 40)

 ハネブサシャチホコ亜科 Platychasmatinae
 トガリシャチホコ亜科 (新称) Scranciinae
 ツマアカシャチホコ亜科 Pygaerinae
 フサオシャチホコ亜科 Dudusinae
 ギョウレツシャチホコ亜科 (新称) Thaumetopoeinae
 オオキシャチホコ亜科 (新称) Perigosinae
 ホソバシャチホコ亜科 (新称) Heterocampinae (Drymonia が Notodontinae に移ったため,Fentonia を新名称とした)
 ギンモンシャチホコ亜科 (新称) Spataliinae (ギンモンシャチホコ族 Spataliini,キシャチホコ族 Ceirini)
 ツマキシャチホコ亜科 Phalerinae
 ウチキシャチホコ亜科 Notodontinae (ネグロシャチホコ族 (新称) Neodrymoniaini,シャチホコガ族 Stauropini,モクメシャチホコ族 Dicranurini,ウチキシャチホコ族 Notodontini)
 マダラシャチホコ亜科 (新称) Dioptinae (新大陸に分布,昼飛性の美しい蛾を含む)
 ナガバシャチホコ亜科 (新称) Nystaleinae (南米に分布,北米にも少数)

 (詳しく読みたい人はバックナンバーを買ってね。それと日本蛾類学会にも入ってね)
 このうち,ハネブサ・トガリバ・ギョウレツ・ウチキのネグロ・マダラ・ナガバは北海道未産である。北海道はシャチホコ相が豊かとは言えないのはやっぱりそうなのである。
 
 この新分類が今度どのように普及するか分からないが,とりあえず(シャチホコが薄いこともあって),わたしのHPの71種はこのまま亜種区分なし(『大図鑑』分類)で行きます。ごめんなさい。