Asthena属・Baptria属更新。

 HPの更新。

  • Asthena属
    • いわゆる「シロナミシャク」の類。蛾は「茶地味」「縞地味」「灰地味」「白地味」といろいろと地味なのだけども,シロナミシャクは白地味。波線はあるのだけども色が淡い。眼視ではなんだか分からない。白っぽい薄茶色のものが壁に貼り付いているだけである。
  • Baptria属
    • ヒュブナー命名。意図はよく分からない。原記載文には翅のことしか記述されていない。近い単語を調べると「潜水者」などと書いてある。要するにキリスト教の「バプテスマ」と同根の言葉である。
    • この蛾が「荒野のヨハネ」や「再洗礼派」と関係あるとは考えにくい。せいぜい洗礼式の「神父の服の色」程度のものである。でも洗礼式でなくとも彼らは黒服を着ていそうなものではある。
    • ギリシア語の『レキシコン』では,“Baptria”の語が出ていて「of Baptês」とある。それじゃあ“Baptês”とは何かというと,「潜水」および「Cottytoの祭儀の信者」とある。コチュトというのは,古代ギリシアトラキアの地方神。アテネではディオニュソス信仰に似たスタイルの裏街道の宗教になっており,この祭儀の時に信者が沐浴を行ったことから「バプトリア」とよばれたらしい。「これが洗礼の起源である」というつもりは一つもない。もちろん,わたしが宗教ネタが好きだというだけで,蛾との関連があるのかないのかは不明である。
    • 単純に前翅の白帯を水に見立てただけかもしれない。分からない。
    • ところで,この蛾はフィンランドゆかりの蛾で(フィンランドでは“Nunnamittari 修道女のシャクガ”とよぶ。黒いからだろうね),フィンランド鱗翅学会のエンブレム(サイトの右上注目)および会報のタイトル『Baptria』に用いられている。「日本蛾類学会会報」が『TINEA』(イガ)だったりするようなものである。蛾屋さんのセンスは共通してこういうものらしい。