No.19 : オオセダカマルカスミカメ
物事は続くものであって,No.14のヒラタヒョウタンナガカメムシとNo.18のトビマダラカスミカメが9月1日.このオオセダカマルカスミカメはその翌日である.関心のない人なら一生知らないであろうマイナーカメムシがラッシュしていたことが分かる.
ただちにふたばの強力コテの人に同定してもらった.
05年9月2日,苫小牧市樽前,錦大沼公園.
始めはゴキブリの小さいのかと思った.北海道にはゴキブリはほとんどいないのだが,わたしはチャバネを2回(JRの座席と旭川の食堂)見たことがある.後ろ姿はそんな感じ.でもよく見ればカメムシである.
隣の,大きめのアワフキムシと比較すると大きさが何となくわかる.つまり,小さい.
学名は"Pachlygus nigrescens".属名が「厚い+カスミカメムシ」.カスミカメを表すラテン語がわざわざあるのは驚き."lygus"がそれだが,語源は「しなやか」.なるほど連中の体は堅牢では全くない.小種名は二グロと同根.「黒みのある」.確かに黒い.
さて図鑑図鑑.『カメムシ図鑑第2巻』.属の説明から.全文引用してしまおう.
今のところ日本のみから知られる属で3種が報告されているが,あと未記載種が1-2種残っている.本種の属は5-6mmくらいの卵形で厚みのある体をもち,小楯板は顕著に盛り上がる.セダカマルカスミカメのみノイバラに寄生し,他の種はすべてウコギ科のハリギリに依存している.(p.253)
撮影場所は灯火下であるが,少し離れた所にハリギリの木があるのは確認済み.
小楯板は画像では分かりにくいが,はっきりと盛り上がっている.テカり具合から判断して欲しい.正中線の白い筋が印象的.
前記の2種と同様,こいつも一夜限りの出会いだった.次回があれば,特徴をもっと強調して撮ることができるだろう.
とにかく撮ってからあれこれ調べるもので,結果としてポイントを逃していて,後でずいぶんくやしい思いをしている.撮影技術も虫知識も,(つД`).