ムラサキエダシャク.【写真日記虫】
薄曇り.おぼろ月夜.
ほとんど壁の一部になってぴったりと貼り付いているものや,せいぜいテント型の山を作っている程度のものの多い中で,時々,鮮やかな立体的造形を持った蛾がいる.
色彩で勝負するばかりが能ではない.
たいして手の込んだことをしなくとも,翅を半開きにしただけでも,ぐっと嵩が大きく見栄えがよくなる.
今夜の蛾がそんな感じ.
★遠目には小さな花が咲いているように見える.前翅長20mm.
学名が"Selenia tetralunaria",「4つの月のセレネー(月の女神)」.和名はムラサキエダシャクである.
06年5月12日21時01分,苫小牧市樽前,錦大沼公園.
なるほど翅に三日月が4つ.この月がくっきりとしているのが近縁種との差だという.
思えばもっとカメラを引いて撮ればよかった.正面は撮れなかったので横から.
同日21時02分.
なかなかの迫力あり.顔つきも触角もいい.巨漢の格闘技選手のようにわたしには見える.
もう1頭来ていた.
すこし翅の色彩が薄く,淡黄色が目立つ個体.
同日21時00分.彼もしっかり月を担っている.
ところでイギリスのサイト「UK moths」でムラサキエダシャクを見るとこんなことが書いてある.面倒なのでExciteで翻訳.
2羽のひながそして、4月、5月、7月、および8月に飛びます。 1世代しかいないところに、ガが5月にいます。
うーん.あいかわらず詩的である.こういう日本語を意図的に書くのは難しい.どういう誤訳なのかは何となく分かる.とりあえず,蛾は5月にいるのである.
☆大振りのシャクガ.見覚えがあるなと思っていたらシモフリトゲエダシャクだった.5月4日記事参照.まだシーズンオフではないらしい.もう1頭シャクガがいたが「蛾同定中フォルダ」直行.
※ウスバキエダシャク.
★トビケラが出てきていた(右上画像).通販で届いたばかりの『札幌の昆虫』(木野田君公,北海道大学出版会,ISBN:4832913913,この本はヒラタアブ・ハナアブにこだわりたい人には強力な武器になると思う)で調べてトビモンエグリトビケラかと.