シャチホコ(18).ヒナシャチホコ.

 というわけで,3連休ですが初日は職場で仕事があります.どうせサービスだから昼からですが.


 今日のシャチホコヒナシャチホコですとさ.
ヒナシャチホコ
 07年8月12日.前翅長11mm.小ささが売りのシャチホコである.1cmがピンとこない人は,ぜひ定規か何かでお確かめを.それくらいのが壁にくっついている訳である.
 「ヒナ」というのは「鄙」(田舎のこと)ではなく,「雛」だろう.これは「鳥のひな」のこと.そこから「小さいもの」とか「人形」の意味が派生する.


 小さいサイズの虫の和名について,青木淳一他『虫の名,貝の名,魚の名』(東海大学出版会)に次のように述べられている.

一方,小さいほうには,小ささの段階に応じて,さまざまな表現が普通に使われている.先ほどのクワガタムシよりも,ゲンゴロウにもっとよい例が見られる.(…)小さいほうに向かってコガタ-,ヒメ-,マメ-,ケシ-,ツブ-,チビ-,チビケシ-という序列ができている.他の昆虫では,これにコナ-,ミジン-なども加わる. (p.8)

 ヒナはどこら辺に入るのだろう.
 「ヒナ」を九州大学日本産昆虫目録データベース(MOKUROKU)」で検索すると26件ヒットする.そのうち「アサヒナ」はきっと違うので除くと,「ヒナバッタ」をはじめ13種の昆虫がいる.あまり優勢なグループではなさそう.
 植物ならどうかというと,千葉大学BG Plants 日本植物学名検索システム」では,「ヒナ」の名を持つ植物は,「ヒナミズゴケ」から「ヒナチドリ」(蘭の一種)まで120種あるという.
 「ヒナ-」という語感は花向きなのだろう.確かに植物に「チビ-」とは言いづらい.調べると「チビウキクサ」と「シワナシチビイタチゴケ」だけだったりする.傍流である.
 ということは「ヒナ」ではじまる昆虫は植物系なのかもしれない.


 学名は Micromelalopha troglodyta .属名は「小さな+黒い+とさか」,小種名「穴+潜る」.ヘンテコだけど平気です.