カノコガ.
昨日の記事に「いもむしうんち」のAclerisさんからコメント.画像の毛虫はカノコガであろうとのありがたいご教示をいただいた.
カノコガならよく知っている(成虫は).ええと,食草はなんだったっけ.「みんな蛾」経由で有名サイト「晶子のお庭は虫づくし〜虫(昆虫)の生態図鑑〜」へ.ここには「カノコガの観察日記」があるのである.
ああ,なるほどカノコガに間違いない.紫色の下半身肥りのところなど同じである.
さて食草は… というとタンポポ中心に枯れたりしなびたりした葉っぱを食べている.これなら早春に活動開始でも大丈夫だろう.痛んだ葉っぱなら雪解けにつれて幾らでも供給される.
「観察日記」では「ダンゴムシの死体」まで食べている.これについては「CiNii - A102 昼行性蛾類カノコガAmata fortuneiの飼育法と配偶行動(一般講演)」(近藤勇介・中秀司・安藤哲・土田浩治)が参考になる.
(タンポポの葉や人工飼料で育てることができる)しかし、中齢〜終齢にかけて激しい共食いが観察され、蛹化率は平均で18.6%であった。本種は中齢〜終齢期に動物性タンパクが必要であると考え、タンポポ生葉とともに動物性タンパクとしてキャットフードを与えたところ、蛹化率の向上が見られた(86.5%)。
なかなか獰猛でもあるようだ.共食いするぐらいだから,小型の土壌生物を積極的に補食したりしているともっと面白いのだが,データが見つからない.そこまでいかなくとも,死んだ生物に出会う率は結構高いに違いない.
ぶらぶらと眺めながら散歩しただけでも,虫は実によく死んでいるのだから.
カノコガの成虫を貼っておこう.昼間の蛾なのであまり貼る機会がなかった.日中はどうしてもカメムシや甲虫を優先してしまう.
07年7月22日.
06年7月30日.
美しい蛾なのだが,見た目やっぱり蛾なので一般受けはあまりしないかもしれない.
06年8月13日.これは計測している.前翅長19mm.
学名はAmata fortunei.
属名は「(女の)恋人」.小種名はfortunesの属格だと思う.手持ちの辞書には載っていないが「幸運・運命 fortuna」と同根だろう.
やたらと好意的な命名じゃないですか.