鱗粉が飛ぶこと.

 蛾を恐れる人々がいて,彼らにとってはしばしばその鱗粉が嫌悪の対象になるようだ.
 田川研『虫屋の虫めがね』(偕成社)から.

「蛾だったら羽に粉が付いてるんじゃないの.さわると手に付くやつが,いっぱい.飛んだらそこらじゅうに飛び散る粉が,あの,リンプンとかいう汚い粉が.もうどうしようもない,はた迷惑なリンプンが.食事時に蛾が入ってきたりしたらたいへんよね.なにしろ,あの汚いリンプンが…」 (p.29)

 飛んだだけで飛び散るものなら,すぐに禿ちょろけになってしまうぞ.
 (ノД`).


 あるいは「日本蛾類学会」のサイトQ&Aコーナー

Q4:蛾の鱗粉には毒があるのでしょうか?

 あのー,モスラ仮面ライダーの見過ぎです.あんなものはどうしたって無害である.


 蛾の鱗粉の恐怖を一層あおり立てかねない動画を2chで知った.
 http://www.youtube.com/watch?v=H4FcFjFnbAw&NR=1
 フクロウに食べられている蛾の鱗粉や体毛が飛ぶこと飛ぶこと.普段からこんな具合に粉をまき散らしているものだと,モスフォビアな方々は思うことだろう.
 困ったものだなあ.


 以前,スズメがカラスに獲られたのを見たことがあるが,羽毛が一気に飛び散っていた.鱗粉やら毛やらは非常時には抜けるようになっているに違いない.
 トカゲの尻尾とまでいかなくても,はがれた鱗粉や羽毛が,蜘蛛の巣や捕食者のくちばしから逃れるチャンスを確実に増やすのだろう.