小特集「白っぽい中型エダシャク」.ミスジコナフエダシャク.コスジシロエダシャク? ウスフタスジシロエダシャク.ウスオビシロエダシャク.フタホシシロエダシャク.フタスジウスキエダシャク.

 ただただ白い1.5cmほどの蛾が結構飛んできていて,どうせ同定不能なヒメシャクだと思っていた.昨年は完全にスルー.ヒメシャクは分からないものと頭から決めつけているのである.
 ところが.とある蛾をHP掲示板に貼ったところ,「トンボと蛾の日々」のMatzsさんから属名のヒントをもらった.エダシャクであると知って目からウロコ.何とかなるかなと調べ直した.


 というわけで,以下は勉強の報告.
 間違えている可能性が大きいです.その時はご指摘いただけると,とても嬉しいです.

その1.ミスジコナフエダシャク(カブラ・イクサンテマタ・インスラタ).

 Matzsさんに「Cabera」とのヒントをもらって,わたしが驚愕した蛾.この人はわたしには想像も及ばない蛾をよく教えてくれる.
 ※コスジシロエダシャクの誤同定の可能性が極めて高い。
 6月17日.前翅長16mm.
 横から.翅を立てているとシャクガの多くは(一瞬だけ)蝶と区別がつかない.

 6月16日.
 和名があまりも紛らわしいので学名で憶えた方が賢明なように思う.尚,ラテン語の長音短音はわたしには分からないので,すべて短音で処理している.
 学名は Cabera exanthemata insulata (カブラ・イクサンテマタ・インスラタ).
 属名は平嶋『生物学名辞典』によれば「プロテウス Proteus の娘の名」(p.294)とのこと.プロテウスとはなんじゃらほいと言えば,Wiki「プローテウス」を参照されたい.
 種小名は「発疹」から.マエキカギバの「疥癬」やヨツメエダシャクの「結膜炎」やら,蛾の世界も病苦は尽きない.
 亜種名は「島の」.?
 「UK Moths」も調べてみると,英名は「Common Wave」.あえて訳せば「並波」である.なみなみ〜♪

コスジシロエダシャク(カベラ・プルス)?

 これは前種とあるいは同じ種かもしれない.横脈紋(前翅の黒点)が出ているのと,波線の具合がどうも違って,無責任な走り方をしているのでコシロスジエダシャクと推測.
 まだ,こういうのはこの1体しか見ていない.

 6月15日.前翅長13mm.
 学名は Cabera purus (カベラ・プルス).
 属名は前種と同じ.種小名は「純粋な,汚れない」.へえ.pureと同根だな.

ウスフタスジシロエダシャク(ロモグラファ・スプスペルサタ).

 黒点ばかりで,それが外横線になっている蛾.

 6月9日.前翅長14mm.
 学名は Lomographa subspersata (ロモグラファ・スプスペルサタ).
 属名は「着物の縁+絵」.おそらく次のフタホシシロエダシャクからの連想である.
 ※間違い。おそらくタイプ種のバラシロエダシャクの後縁部の模様から
 種小名は調べがつかなかった.大きい辞典が( ゚д゚)ホスィ….

ウスオビシロエダシャク(ロモグラファ・ニヴェア).

 数多く飛来.眼視でも横線がよく分かる.

 6月16日.前翅長15mm.

 6月9日.前翅長16mm.
 学名は Lomographa nivea (ロモグラファ・ニヴェア).
 これは辞典を引かなくてもOK.種小名のニヴェアは「雪のように白い」.何かそういうスキンクリームがあったような.

フタホシシロエダシャク(ロモグラファ・ビマクラタ・スブノタタ)

 ロモグラファ属で最もスタンダードな蛾(と思われる).

 6月15日.前翅長14mm.
 学名は Lomographa bimaculata subnotata (ロモグラファ・ビマクラタ・スブノタタ).
 種小名は「2つの点」.亜種名は「署名された」.種小名は理解できるが,亜種名は気にするべきではない.

フタスジウスキエダシャク(パラバプタ・エテリアタ).

 白い,というよりも黄色っぽい.夜目にはほとんどクリーム色にさえ見える.
 実はミスジコナフエダと同じだと即断していたのを,Matzsさんに「Parabapta」の指摘を受けたもの.

 5月23日.前翅長15mm.

 6月9日.15mm.画像が黄色く飛んでいるが,この方が見た目に近い.
 学名は Parabapta aetheriata (パラバプタ・エテリアタ).
 属名は… ギリシア系複合語はレキシコンが強い.文法がろくに分からないギリシア語の方が調べやすいという倒錯.「dyed」って書いてある.「染色されたもの」かな.
 種小名は「エーテル」から.さて「天上の」か,「空気の」か.どちらにしてもこの蛾の,翅の細やかで上品な感じをよくとらえていると思う.


 あー,だめだ.やっぱりラテン語も憶えられそうもない.
 蛾の方もどれも同じに見えてきたし.


 というわけで何かというと,日曜は朝から飲んで夕方に飲み直して,結局虫撮りをサボったのである.
 ついでに言えば,23日の月曜は大量の仕事を持ち帰っているにもかかわらず,おびただしい時間を費やしてこの記事を書いたりしたため,結局虫撮りに行くどころでないのである.


 23日の更新は,ストックからのちょろちょろでお茶を濁すものと思われます.