ヘリキスジノメイガ続々報.

 今年の夏に大発生したヘリキスジノメイガ.当ブログでもたびたび取り上げてきた.
 8月9日:「みんな蛾」の投稿欄に登場.
 8月10日「虫ブログとヘリキスジノメイガ勉強会」:あちこちの虫ブログで話題になる.
 8月11日「ヘリキスジノメイガ続報」:北見のフリーペーパーに登場.
 9月9日「9月9日前半」:それとおぼしき幼虫の被害が北海道新聞に載る.「北海道病害虫防除所」では同定を保留.
 9月10日「ヘリキスジノメイガ続き」:「原 拓史blog」さんにまとめ記事が出る.


 せっかくだから画像も.

 8月9日のもの.


 すっかり忘れていた.
 久しぶりに「北海道病害虫防除所」へアクセスする.新着情報あり.


 問題の幼虫を羽化させた結果,やっぱりヘリキスジノメイガと確定した模様.
 10月22日付け「病害虫発生予察情報 第18号 特殊報第1号」から.

加害幼虫を飼育して得られた羽化成虫は、独立行政法人農業環境技術研究所の吉松慎一博士によりヘリキスジノメイガMargaritia sticticalis(Linnaeus)(別名:Loxostege sticticalis(Linnaeus))であると同定された。

幼虫は各種作物を加害後、表層5cm以内の比較的浅い土中で土繭をつくることが確認されており、その中で幼虫態で越冬する可能性がある。しかし、幼虫が植物上で確認されなくなった9月中旬以降も、少数ではあるが成虫が確認されていることから、一部の幼虫は土繭内で蛹化し、羽化したものと推測される。
 10月上旬に、北海道病害虫防除所および、道内の各農業試験場・関係普及センターが上川・留萌・網走・宗谷支庁管内の被害多発ほ場・草地で土繭数を調査した結果、50×50cm中にある土繭数が10を超えるほ場は少なかった。また、現地調査により得られた土繭内部で死亡している幼虫も認められた。なお、これらほ場について融雪後に再度調査を行う予定である。

 幼虫がうじゃうじゃいても,順調に生育できるものはそんなには多くないのが通例.それでも50cm平方で10頭というのはちょっとしたものだなあ.


 食草は結局何だったかといえば,当初は「キク科」が危ぶまれていたのだが….

作物 :大豆、小豆、てんさい、にんじん、アスパラガス、かぼちゃ、ピーマン、
     コスモス、他
牧草 :アカクローバー、シロクローバー、アルファルファ、チモシー、デントコーン
雑草 :アカザ、ヨモギ、タデ、イタドリ、ノボロギク、スベリヒユタンポポ、他
    ※アカザを好食している事例が多い

 なんでもありあり.多食性としか言いようがない.


 さて,問題は今後のこと.越冬できるかどうか.

 本虫の生態については、不明な点があるが、土中で土繭を作ることが確認されているため、越冬の可能性がある。また、越冬が可能な場合は、春先に土繭から羽化した成虫が、翌年の被害に繋がることも考えられるので、発生が確認された際には、病害虫防除所、農業試験場並びに農業改良普及センターに連絡すること。

 だそうである.
 土の中深くまでは潜らないようだから,北海道で越冬して定着するのは難しいと思うのだが.