『ねこ耳少女の量子論』

 わたしの知的好奇心は守備範囲が広く,かつては「walking-dictionary」ならぬ,自称「walking-library」(記憶はあやふやだが,たいていのことは本で読んだことがあって調べ直せば答えられるという意)の名を自称欲しいままにしていた.今はもう頭がぼろぼろで使い物にならない.「知の汚部屋」相当でしかない.


 ところで有機化学系のブログで取り上げられていた本.

『ねこ耳少女の量子論〜萌える最新物理学〜』,
竹内薫他;PHP研究所,2009

 量子の話がどうもトビトビでよく分からなかった.数年前に読んだ分厚い「超ひも理論」の啓蒙書のほうが,量子の振る舞いについてよく理解できた記憶がある(もちろん現在は忘れ果てている).
 いえることは,「漫画」だの「サイドストーリー」だのよりも,「量子論それ自体の方が絶対に面白い」.
 かなり以前に「なんだかの世界」とかいう疑似哲学史本が売れたことがあって,つまんねえなと思ったわけだが,それと同じ.例えばプラトンの著作に直接に当たってみたり,その詳しい解説書を読んだりした方が絶対に面白い.十分に理解している人が「面白そうな箇所」「とっつきやすそうな箇所」だけ取り上げて素人に紹介したって,読み手はベースの部分を踏まえていないのだからよく分からないに決まっている.


 「明解に分かりやすく説明すること」と「魅惑的な仕掛けの添加物まみれにして引きつけること」とは当然全く異なる.知のジャンクフードは脳に悪そうだ.それでも食べないよりはましかもしれないのだが.
 ※そういえば,何でもかんでも「図解して説明する」というのも,わたしは嫌いである.