心がけも心ばえも劣っているので,風邪を引いた。
 熱があるらしい。頭が徹夜明けのような感じが続いているが,サービス出勤は第2の天性でしかない。勤務日における労働が不十分だからである。きっとこれが第1の天性。


 同僚の一人が熱帯魚の水槽の移転先に悩んでいる。これまで置いていた部屋が別の用途に当てられることになったのだと言う。
 わたしにしても,植物に関心のない人たちが部屋の模様替えをしてはじき出されてしまった,野放図に育ったゴムノキの鉢の置き場の当てがない。今は陽の差さない別室の物陰に放置されている。このまま枯らしてしまおうと思っている。5年前にほとんど枯れていたのを生き返らせたのはわたしだから,わたしの手で終わらせなければならないのだろう。
 昆虫や,魚や植物がすぐに手の届く所に存在していることに関心を払う人は多くない。確かに職場は仕事をするところでしかない。


 というわけで仕事が嫌いでほったらかしで散らかり放題のわたしに割り当てられた机に,教■局からの文書が乗せられている。わたしの頭が正常なら,たいていの書類は引き出しに放り込んでそれっきりになるのだが,なにしろ熱で呆けているのでうっかり読んでしまう。
 局による求■開拓と就■指導の報告。長いけれども引用。

 一般求人を受験する生徒に対し,求人開拓員が訪問した大半の企業から要望された「職場を明るくできる生徒」を採用したいという言葉を助言の中心に据え次のことを理解させた*1

  1. 社会生活経験が身に付けている「全体を把握する能力」や「日常業務の時間配分の能力」に対抗するには,「指示された業務だけに集中して取組む熱意」を持つこと,「企業に損失を与える退職の意思が皆無であることを主張すること」を話し,条件が不利ではないことを理解させた。
  2. 未内定者研修会では,「言うことに従うこと」「辞めないこと」が,企業が新規高卒者に求める能力であることを,事例を示しながら理解させた。

 現場の,最前線の,むき出しの,ぎりぎりの声。現場の人間の一人としては痛いほど理解できる。でも。
 そういえば,4月から,わたしは15年続けて配属されてきた進■指導部から外れることが決まっている。


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*1:この業界では「理解させた」という表現を用いなければ稟議を通らない。理解させることで行動を変容させるのが仕事だから仕方ない。