日本産蛾類標準図鑑III

日本産蛾類標準図鑑〈3〉

日本産蛾類標準図鑑〈3〉

 やっと昨日届いた。第3巻は「マイナーミクロ集」。
 絵合わせアマにはちょっと厳しい巻になった。例のダルメシアン模様のスガなんかは何種並んでいても見た目はどれもやっぱり同じである。


 Twitter上で,「いもむしうんちは雨の音」のAclerisさんと「環境調査系虫屋のブログ」の坂井さんとのやりとり。

 そういえば坂井さんはヒロズコガの人だった。それにしても本が届いたその日の内にヒロズコガやらヒモミノガをチェックしてしまうAclerisさんも(よい意味で?)とんでもない人である。せっかくですのでこのお二人を未フォローの人はぜひ。


 あとはわたしの個人的な興味。「みんな蛾」のヤマキヒゲナガのところで,

ヤマキヒゲナガ
Nemophora japonica Stringer, 1930
(…)
【旧名,別名,害虫名,同定ミスなど】 ハチマンタイヒゲナガ
(…)
掲示板から一言】 ツマモンヒゲナガ、ウスベニヒゲナガとの関係が現在混乱中で、研究中。

http://www.jpmoth.org/Adelidae/Adelinae/Nemophora_japonica.html

がどう決着がついたかというと,今回の図鑑では,

サッポロヒゲナガ
Nemophora sapporensis (Mastumura, 1931)
(…)
[分類]タイプ産地は札幌。ヤマキヒゲナガ(ハチマンタイヒゲナガ) N. montana Okano 1957 が本種のシノニム。 (pp.110,111)

 ではあるのだけども,montana種は「みんな蛾」には上がっていない。上記のようにヤマキヒゲナガは「みんな蛾」では,N. japonica である。
 それで japonica種については

ウスベニヒゲナガ
Nemophora staudingerella (Christoph, 1881)
(…)
[分類](…)Kozlov(1997)は N. sapporensis (Matsumura, 1331)と N. montana Okano 1957 を N. japonica Stringer 1930 のシノニムとしたが, N. japonica は N. sapprensis とは別種で,N. stadingerella (Christoph, 1881)のシノニムである。(p.110)

 ようするにもう何だかどうでもいいような気がしてきたが,つまりは,

  • ヤマキヒゲナガとハチマンタイヒゲナガは別種だった。
    • ヤマキヒゲナガはウスベニヒゲナガのシノニムに。
    • ハチマンタイヒゲナガはサッポロヒゲナガが復権してそちらのシノニムに。

ということらしい。(´ヘ`;)


 というわけで,なかなか面白い。何かネタを見つければまた取り上げたく思います。