「みちのく会 in 札幌」私的レポ無気力幹事編(3/6)。2月23日。一人一話。

 ※5月2日うp。


 「みちのく会 in 札幌」私的レポ無気力幹事編(1/6)。2月23日。開幕以前のホテル。
 「みちのく会 in 札幌」私的レポ無気力幹事編(2/6)。さて相変わらずの開会準備。
 のつづきです。


 内地と札幌との接続線上に大雪がかぶさって,電車が遅れている。定刻。まだ数名が着いていない。受付担当のわたしとしては業務を放棄する訳にもいかず,入り口に一番近い机のかどに陣取って店を開き続ける。
 悲しいかな,この位置では正面のスクリーンの字が視力的に無理。「一人一話」にはきっとついて行けない。幹事なんてどうせそんなものである。


 以下はわたしがついて行けた範囲で。

 ライトトラップの幕にコガネムシが沢山来るので,ペットボトルを切ったもので捕獲している。

連中は白布を糞で汚すのだが,撥水性の強い化繊の布を使うと水を掛けるだけできれいになる。
 モグリチビガ。外観で分けただけでも110種以上。北海道全体では200種を超えるだろう。今回の図鑑では70種にとどまっている。首のところに「毛の生えている」ものと「鱗片になっている」ものとがある。翅に縞が……(受付業務のため以下不明)

 前回の標本画像を参照のこと。


 フユシャクの話。

 ……(受付のため始めの方不明)色々なことがある。
 フチグロを宮城で探しているのだがまだ見つかっていない。利尻での生息環境を手本にしている。そこではチヂミザサの生えている場所に沢山いて,穂につかまっているものも見た。クマにあったこともある。

 ましてや,わたしとはおそらく一生縁のなさそうな蛾。

 標準図鑑はよく出せたなあという感じである。
 前年の話題の続報。キハラゴマダラヒトリの2種について。
 「みんな蛾」を見たロシアの Dubatolov 博士がここの画像に,“lubricipedum”種と,国後で採集されている“urticae”種との2種が混じっているのではという指摘があった。後者は触角の櫛歯が短いのだという。メールで各方面に標本の確認をお願いしていたところ,北海道のKさんから urticae種と見なされる標本が出てきた。

 というわけで,そのうちに日本のキハラゴマダラヒトリも2種に分かれることになる。トーシロー的には面倒くさいなあ。
 ちなみにわたしは,キハラはぼろぼろの死骸を1頭見ただけ。再掲。
キハラゴマダラヒトリ Spilosoma lubricipedum (?)
 触角どころでなかった。

 昨年はミクロレピのカザリバを集めていた。集めれば何とかなるだろうという思惑。標準図鑑も出たことだし,切ってみたが分からなかった。見る角度で全然違って見える。
 ウスイロカザリバは分かる。
 一杯集めてからもう一度やらないとならない。がっかりした。

 ウスイロカザリバはこんなの。「みんな蛾」−ウスイロカザリバ

 スイカの尻に穴を開けられた。鱗翅ではなく,ケラだった。

 あれもどういう暮らしをしているか分からない虫である。

 山形県におけるヨモギキリガの飼育記録。
 ヨモギキリガはキクを食害する。キクとダリアで幼虫を飼育してみる。体色に2通りある。



 おそらく山形では,幼虫は6月上旬から7月中旬。7月中旬に蛹になって越冬。成虫は4月から6月。年1化である。

 ダリアって最近とんと見かけないねえ。


 標準図鑑第4巻執筆者。スライド頼りでごめんなさい。

 トリバガの標本が集まってきている。

 (以下,新種・分類上問題のある種・希少種の紹介スライド沢山)


 まとめ。

 モグリチビガよりも種数が少ないのが救いだろうか。ミクロは調査が進んでいないので知らない間にどんどん絶滅している可能性がある。大変だなあ。
 なお,わたしはトリバガを灯火以外で見つけたことがない。

 ヒダカミツボシキリガ,5連敗中。現場に通うついでに乗馬を始めてしまった。

 馬は大きいし,顔は長いし,何かを考えているような様子なので,わたしは近づかない。

 標準図鑑のマダラガの図版がきたなくて不本意である。

 そうでもないと思う。あの金属光沢は写真では難しくて当然。

 アズサキリガの黒化型が格好いい。次シーズンは熱いことになりそう。

 困ったなあと思うのだが。

 イカリモンガの幼虫3頭をジュウモンジシダから得た。

 地道な調査報告の大切さ。

 夕張岳にシューパロダムができる。水没前の蛾の調査中。
 クマが多い。スジグロチャバネセセリとゴマシジミを高山帯で得た。
 昨年は昆虫が少なかった年である。一昨年もミヤマトリバ程度。今の状況をしっかり調査しておくのが大切だと思う。

 クマも水没するのだろう。いやはや。

 標準図鑑のツトガの原稿を先月に出した。標本集めが最も難しい。図示できないものが4種残ってしまった。

 生態のツトガの翅のたたみ方から標本写真に対応させるのは難しい。わたしにはきっと無縁。

 標本の整理中。

  • ホシオビコケガに2種混じっている。未記載なのか新種なのかは不明。
    • ♂触角 − 櫛歯のもの・歯の短いもの
    • ♀斑紋 − 黒点に差違

  • ウスハラアカアオシャクとホソバハラアカアオシャクの区別は簡単。
    • ウス − 翅の裏に金色の鱗粉あり
    • ホソバ − 金色の鱗粉なし


  • Jodis 属のウスキヒメアオシャクとマルモンヒメアオシャクにウンクス(交尾器の一番上の突起)が反り返るタイプがある。

 わたしには「種」や「属」といった概念が未だに飲み込めていない。どうせ専門が18世紀だし。


 ここら辺から当番地区の北海道勢。

 小清水町。蛾が非常に少なく,灯火採集を2回しか行わなかった。それでも自宅での採集では3種増えた。
 ガマキンウワバは戻った。
 12月から雪が多かった。

 標準図鑑ではタテジマホソマイコガがなくなった。

 中札内。キタクロミノガを40頭ほど所持。♀を捕獲して忘れていたら,卵が孵化して秋には90頭ほど,次の初夏には50%が羽化した。今のものは2代目である。

 環境調査に従事。エタノールトラップに落とした,痛んだ蛾の同定を行っている。昨年は77サンプル同定したが,1サンプルにまる1日かかる。若い人がこれでやっていけるかどうか。

 そんな作業を好む人はいないだろうなあ。しかも Ectropis(トビスジエダシャク属)や Hypomecis(ハミスジエダシャク属)ばかりだったりすると心が暗くなるばかりである。


 かなり抜けた。自分が何を喋ったか一つも覚えていない。何せ,頭が受付業務だったのである。


(この項つづく)