Proteostrenia属・Protoboarmia属・Pseuderannis属・Racotis属・シャチホコ科書き直し。

 やっと余裕ができて,HP「yyzz2; 虫画像 虫よもやま」更新(以下リンクがうるさいのだが,何だか対策だと思ってください)。一般的な価値は,HPの学名ごっこの方が16世紀の昆虫学よりも高いはずである。バルトロメウは後回しにして学名。

  • Proteostrenia属
    • シロモンクロエダシャクとか。どれも未見。画像は原記載ものが手に入った。どうして「海の老人プローテウス」が属名になっているか一つも分からないが,神話由来な所はなかなかよろしい。
  • Protoboarmia属
    •  オレクギは1回撮っているのだが,同定できないので画像は Seitz から。種小名が殉教者名に由来している。オレクギエダシャクを採集する人は,「殉教させている」と考えながら採集すること。
  • Pseuderannis属
    • 当ブログではあまりにもおなじみのウスバキエダシャク。実はチャバネフユエダシャクの「Pseud(ニセ)」だった。形は似ているかもしれない。ウスバシロエダシャク(Pseuderannis amplipennis)がいないものかと昔さんざん調べたのだが(10-05-15記事)ついにダメだった記憶あり。
  • Racotis属
    • ミスジエダシャクというのもそっけない命名だが,種小名「岩肌状の」というのも Butler に特有の何の思い入れもない命名

 
 ついでに,シャチホコガ科について,長すぎるページタイトルを短縮して,原記載を読み直して(7年前と比べてわたしの調べる力はかなり上がっている),図版を探して入れる作業を2日間で終わらせた。『北海道の蝶と蛾』で2種削って,44属72種になった。使えそうな図版の見つからないものが2種。エゾギンモンシャチホコとヒメシャチホコ
 今回の最大の収穫は(Twitterにあげたのだが),シロスジエグリシャチホコ Fusapteryx ladislai の種小名について,Wladyslaw Taczanowski に由来するのが分かったことである。Wladyslaw をフランス人読みをすると Ladislas になるらしい。これをラテン名化して Ladislaus にして属格の「-i」をつけたもの。 オーベルチュールの「Études d'entomologie」の10巻の前書きに「ヤンコフスキー氏が中国人匪賊に襲われたが助かったと,われわれの友人である Ladislas Taczanowski 氏の口から聞いた云々」をやっと見つけた時は嬉しかった。フルネームが分かればほとんど何とかなるのである。地元のポーランドではかなり有名な学者らしいが,日本ではほとんど知られていないと思う。
 ウチキシャチホコ Notodonta dembowskii の「デンボフスキー」も,フランスの国営図書館である Gallica をさんざん調べたのだが,こちらはあまりにも資料不足。オーベルチュール弟の友人で中堅どころの昆虫学者らしい。

 学名調べは,どうにもこういう一般蛾屋の知らないであろう知識が増えていくのが面白い。この手のフィールドである分類学に何の貢献もしていないであろうことが,いかにも傍系だが仕方ない。そのうち陽が当たらないかなあ。