ヒゲナガガは触角を曲げられるらしい【写真日記虫】

 葉っぱの上にヒゲナガガが何匹もとまっている.見るとあたりに茶色い蛾が10匹近く飛び交っている.これもおそらくヒゲナガだろう.ちょうど繁殖のシーズンなのかもしれない.
 どうせ撮るなら雄の方が面白い.触角が写ることを祈りながらシャッター.わたしの近眼ではどうなっているのか見えないので,山勘で.
 カメラの液晶で確認すると何だか触角が錯綜している.これは下の方にとまっていた別の個体の触角が写り込んだものと即断.更に何枚か撮影.その後,薮に踏み込んだ弾みに一斉に飛び立たれてしまった.


 帰宅してPCで確認してみると,違っていた.

 触角の手入れ中.しかし,どうやってあの触角を曲げたのだろう.まさか自由自在にヘビのように自在に曲げられるとは思いにくい.根元は当然動かせるだろうから,下に押しつけてから足で踏みつけるのだろうか.

 これは手入れ完了後.すっきりぴーん.


 ところで検索していて,こんな記事が.

 ケブカヒゲナガに限らず、マガリガ科ヒゲナガガ亜科の雄の触角は極めて長い。一方、雌は前翅を少し越える程度。それに、ヒゲナガガ科はフェロモンを出す発香器官を持たないらしく、個体間の認識は視覚が頼りのようだ。そうであればこそ、スムーズな飛翔に差し障るほど長く、これ見よがしのあまりに長い触角が、無意味で役立たずであろうはずがない。きっと雌の気を惹くためのシンボルで、生殖活動に重要なものに違いない。長い角を持ったオリックスも、アイベックスも、立派な角を持つ雄がもてるように、この蛾の良く目立っ触角はきっと配偶行動に欠かせない物で、無用な物などでは決してないはずだ。
 「里山自然探訪(リンクが禁止されているのかな)」

 えー.フェロモン探知用じゃないのー.前に書いたことを訂正しなきゃいけないのかな.本当なのだろうか.フェロモンでないのなら「音」? 何か雌が特殊な鳴き声を出して,その音をあの山鳥の尾のしだり尾の長々しき触角が拾うのでは.そういう用途でもない限り,あんな長い触角でヘロヘロ飛んでいたら,セックスアピールどころか,逃げる雌を追いかけられない(生殖行動はひたすら追いかけたり,いきなり飛びついてナンボだ)と思うのだが.
 実際は,単に進化が過剰に進行しただけなのかもしれない.進化は方向が一端定まるとどこまでも行ってしまうものらしい.こんな触角でも結構繁栄できているようだから,未来的にはもっとトンデモな展開を見せるかもしれない.