No.7:チャイロクチブトカメムシ.

 更新できる時に更新してしまおう.弾切れになったらその時に考えよう.
 こいつが今手持ちのカメムシ科画像の「大取り (゚∈゚*;)」.相変わらず普通の奴である.


  
 05年10月1日,苫小牧市大沼公園で.


 木の葉っぱの上に,何食わぬ顔をして止まっている.画像では分かりにくいが,第1印象は「平べったい」.プレスしたよう,とまでは言わないものの,とにかく十分にのぺっとしている.後はひたすら薄茶色である.写真では後ろ翅(膜質部)が黒く写っているが,光の加減.実際は単にくすんだ赤茶色である.
 ご覧の通りの風体なので,図鑑の記述は盛り上がらない.
 北隆館『昆虫大図鑑』から.簡潔である.

赤みのある褐色または褐色の地に黒褐色の点刻を装う.頭部中葉は側葉よりやや短く,前胸背側板は鋭角をなして尖る.前腿節に棘を欠き,(…),山地の樹上で生活する.

 次は『カメムシ図鑑』.

やや扁平で,一様に赤褐色.腹部結合板の前,後縁にある黒斑以外目立った斑紋はない.

 見た目のイメージそのままの記述.個人的にはこっちの勝ち.(*^ー^)b.


 『カメムシ図鑑』はここからが面白い.このカメムシはもっぱら肉食性らしい.学名のArma custosは,Armaがいわゆる「アーマー」,「兜・鎧」,custosが「番人」・「守備隊」のことだから,こいつの植物の害虫をやっつけているところから命名されたのだろう.

山地の樹上で生活し,おもに鱗翅類の幼虫を捕食すると思われる.飼育中にはキベリネズミホソバ,モンシロチョウ,イネヨトウなどの鱗翅類やヤナギルリハムシ,ハバチ類などの幼虫を捕食した.

 「キベリネズミホソバ」? これまたマニアックな.いつもお世話になってる,ニワカガさんの「日本産蛾類図鑑」で検索.こいつだ.知らないなー.地衣類を食べてる? これまた地味地味な.
 この図鑑のコンセプトは農学的興味にあるので,天敵として利用できないかということなのだろうな.カメムシは結構偏食だったりするので,いろいろな幼虫を食べさせてみるのは重要な実験.でもなー,キベリネズミホソバかー.無害な昆虫だと思う.かわいそうだったな.


 ※画像ファイルを整理していると,「キベリネズミホソバ」というタイトルの写真がでてきた.忘れていた.専門の人のチェックが入っていないので,間違っているかもしれない.この日記は間違いだらけの可能性が大なのである.
 
 05年8月14日,苫小牧市大沼公園


 実はこのカメムシは,わたしにとっては,幼虫の捕食シーンとの出会いで強い印象を残している,特別なカメムシである.


 
 
 
 
 05年8月13日,やっぱり苫小牧市大沼公園


 ちょうど目の高さくらいの梢.虫がぶら下がっている.見るとカメムシの幼虫の狩りだ.駆け出しのわたしでもそれくらいは分かる.
 わたしには初体験.カメラを向けたが,そのころはまだコンデジを使っていたので,こういうぶら下がっているシチュエーションにはなかなかピントが合わない.悪戦苦闘がはじまる.
 オレンジ色の口吻ががっちり獲物に食い込んでいる.なるほど「クチブト」である.
 こいつは馬鹿力でぶら下げていた獲物(クルミハムシだと「ふたば」で教示してもらった)を引きずり上げると,わたしの撮影がよほど気に入らなかったと見えて,更に葉の上を奥へ奥へとと引きずっていった.逃げないでー.ヽ(´Д`;)ノアゥア... ピントが合わせられないんだよー.
 よくも口吻が抜けないものである.ハムシの方はもう事切れているらしく,されるがままになっていた.
 彼はいずくなりともわたしの目の届かない所へ逃げる意志らしい.葉柄の方まで引いていって,またハムシが宙吊りになる.それでも彼は頓着せず,後ずさりで運んでいく.
 他の葉の陰になったのと,距離が離れてきたので,ここで撮影終了.30分弱で40枚ほどシャッターを切っていた.
 帰宅後,すぐに「ふたば」に貼って,チャイロクチブトカメムシと同定してもらった.いつもお世話になっています.