No.8:ツマグロマキバサシガメ

 
 05年8月8日,苫小牧市字錦岡(コンビニ灯火)で撮影.


 わたし個人に関わるあれこれは,前回の記事(「番外編の2.虫を撮り始めるまで(2/2)」)に書いたように,8月21日記事「コンビニと希少種(ツマグロマキバサシガメ)」でほぼ尽きている.


 図鑑には載っていない種なので,恒例の「図鑑読み比べ」ができない.周辺的なことなどつらつらと.
 マキバサシガメ科にはマイナーな印象がある.「弱くて軽いサシガメ」といった風情である.分類学的には,サシガメよりもハナカメムシ(ほとんど普通の虫っぽい)やトコジラミ(いわゆるナンキンムシ)(いや,どっちも実物を見たことはないんだが…)に近い種だという.


 北隆館の『大図鑑』の検索表をみると,大雑把にいえば「口吻が3節なのがサシガメ科」,「4節なのがマキバサシガメ科」ということらしい.捕まえてひっくり返して実体顕微鏡にでもかけないと分からないなー.それにしても分類学者というのはすごいものである.
 科名はNabidae."Nabi"というのは(さあ,またあてずっぽの学名判じ物が始まりましたよ),どうやら「ユダヤ預言者」のことと思われる.本家のサシガメ科が"Reduviidae"「残骸・抜け殻」だから,マキバサシの方が何か雰囲気がある.
 さて,当のツマグロマキバサシガメの学名は"Stenonabis extremus".「狭い+預言者 極端な」である.体が細っこいからだろうか.


 こいつは環境省レッドリスト2000で「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」に指定されている(環境省HP「絶滅危惧種検索」).絶滅の危険が増大している種,とのこと.
 ※カメムシから脱線するが,このリストを見ていると,チョウは多くあがっているのに蛾は少ない.チョウばかりが絶滅するはずがない.つまりは蛾の分布研究が進んでいないに違いない.急がなければならないと思うのだが.
 北海道レッドデータブックの方が少し余分に詳しい(http://rdb.hokkaido-ies.go.jp/page/detail2.asp?spc=000000000000000001070&).とはいえ,ここらの生態はほとんど分かっていないのだろう.


 せっかくだから8/21記事のとは違う角度からもう1枚.口吻は長くない.
 
 05年8月15日,苫小牧市字錦岡,同じコンビニで.
 結局,このカメムシたちに出会えたのはこの8月8,15日の2回だけだった.この絶滅危惧種たちは来年もまた姿を現してくれるだろうか.