雪上を行く【写真日記虫】

yyzz22006-01-01

 6月には,こんな真冬にカメラをぶら下げて雪の中を虫探しする人間になってしまうとは夢にも思わなかった.


 ことの起こりは,ネットで虫系サイト(アンテナ参照)を巡回していて.
 雪の上には結構虫が歩いているというのだ.ガガンボやユスリカやトビムシ
 ここ苫小牧は北海道のくせに雪が少ない.いちおう太平洋岸の端くれなので冬は天気がいい.晴れて陽の射していることが多い.これは虫が出てくる一手と見た.そんなこと思ったらもう我慢できない.出撃しかない


 休日に入った12月29日.快晴.いつもの錦大沼公園へ.
 ゴム長に靴下2枚重ね,毛糸の帽子,首ウォーマー.もちろんコートはがっちり.
 駐車場にはすでに車が2,3台.彼らも虫探し? まさかねえ.


 40分ほど雪に埋まった自然遊歩道を歩き回ったが見つからない.昼頃なのでどんどん腹が減ってくる.と,やっと虫影発見.あれれ,生きてない.指ですくい上げる.小蜂.
 
 これで収穫ゼロは免れたので一安心.
 またいた.今度は生きていそう.蚊というか,ユスリカに見える.雪の上を歩いている.目的地があるのだろうか.水場からは少し距離があるのだが.
 定規を置いて撮影.
 
 1時間歩いて疲れた(このユスリカの労苦に比べれば大したことはないのだろうが)ので,この日は撤収.


 大晦日の12月31日.好天.大掃除なんて元よりする気がないので,また公園へ.
 ターゲットがユスリカと決まったので分かりやすい.川っぷちを重点的にローラーしていけばいい.
 小川の流れているところへ.さっそく1頭出現.歩いている.1頭見つかると次々に見つかる.
 10m×5mぐらいの範囲に10頭ほど確認.昼下がりの比較的気温の高い時間だったからかもしれない.ただし,生きていたのは3頭だけで,あとは死体だった.


 3mmほどの1頭は,定規を置こうとするといきなり飛び上がった.飛べるとは思わなかった.そりゃあ翅があるから飛べてもおかしくない.とはいえ,彼らの飛翔力では歩いた方がおそらく確実な移動手段ということなのだろう.
 ユスリカの♂の触角は櫛状になると思うのだが,それでいくと見つかるのは♀ばかりである.昆虫の中には♂♀で時差を付けて羽化してくるものもいるというが,連中はそんな贅沢をいってられる環境ではなさそうだ.単に♂を見つけられなかったのか,♂の触角でも櫛にならない種であるのかは分からなかった.
 ※下のAclerisさんのコメントを参照されたし.文中の「おぢさんのブログ」とは「いもむしうんちは雨の音」です.専門性も高いし,読み物としても良質だと思います.
 
 これは触角の長い個体.29日のものとは種が違うのか,性が違うのか.前者の可能性が高そうではある.


 連中は雪の上を少しずつ歩いて進んでいく.どこへ向かって? わたしには分からない.
 わたしが付けた足跡の段差は,彼らにとってフェータルなほどの障害になるかもしれない.
 撤退.これ以上彼らの領野を荒らすのはやめておこう.暗くなって気温が下がってくるまでに,彼らが望むところにまで行き着けるように.