No.10:ハラビロマキバサシガメ
マキバサシガメ科のごくごく普通種とのこと.珍しくも何ともないそうである.
とはいえ,前2種よりも獰猛そうで,わたしの持っているサシガメのイメージに近い.茶色・黒なところも,翅の短く腹が露出している当たりも嫌な感じがよく出ている.
ハラビロマキバサシガメの学名は"Himacerus apterus".属名は分からなかった.
※「革紐himas+触覚/角ceraia」?(07/07/23)
小種名は「翼のない」.そっか,「翼竜プテラノドン」のに,否定の「a」がついた奴だ.
だから和名は「ハネナシ」でもよかったのだろうが,でも短いとはいえ翅はある.「ハラビロ」でいいか.図鑑を見ると短翅のマキバサシが他にもいる.特徴を表現するとそんな相場になるのだろう.いい命名なのかもしれない.
05年9月23日,苫小牧市錦大沼公園.
北隆館『大図鑑』.
体表には軟毛を装い,脚に暗色部がある.触角長く,前胸背後葉は円く背方に膨らむ.半翅鞘短く,雌の腹は広い.(…)山地の樹上ことに灌木・蔓草などの葉の茂った場所に生息する.
うーん.同定に使えるような,使えないような… 暗色部があると言われても,どこにだか分かんないし…
何となくピンぼけっぽいモヤった感じは「軟毛」のせいにしておこう.最後の生息場所の記述はわたしの経験(わずか3例ですが)に合っている.
『カメムシ図鑑』.
一様に暗褐色で,前胸背後葉と前翅は淡色.体の後方になるほど幅が広くなっている.雌は特に腹部が幅広く,側方に張り出している.一般に短翅であるが,まれに長翅型が生じる.
山地の灌木や草むらで生活する.
「淡色」部は画像にぴったり.目立つ特徴だと思う.
私見では,この申し訳なさそうに引っ付いている翅の安っぽい色具合こそが,このサシガメをよりみすぼらしく見せるチャームポイントなのである.枯葉を引っかけてるようなものである.
ところで「長翅型」は見たい撮りたい.どういう発生条件なのだろうか.わたしは社会的にどうでもいいことに関しては恐ろしく強運なので,きっとその内に出会えることだろう.
ハネナガマキバよりは悪に見えるものの,こいつらもあまり気の利いた獲物は捕れなさそう.来シーズンに見つけたら,何か餌付けをして「やらせ捕食写真」を撮ることにしよう.ピンセットがいるな.
幼虫の写真を7月に撮っていた.こっちの方が「ハラビロ」に撮れている.
http://d.hatena.ne.jp/yyzz2/20050731
次回は「ヘリカメムシ」.どんどん分からない世界に入っていく.困ってきた.