No.12:アカヒメヘリカメムシ

 
 9月24日,苫小牧市大沼公園
 止まっているのはオオマツヨイグサの実.生えている毛の写りから,かなり拡大しているのが見て取れると思う.このカメムシは大きくない.1cmない.
 近づいて,陽にあてて見るときれいなオレンジ色である.だが,いかんせん小さい.まして,すぐに葉や茎の蔭に隠れてしまって,枯葉の屑っ端のよう.
 小昆虫に目が向く人以外には知られていないようだ.前回のキバラヘリカメムシに味をしめてネット検索してみても,あまり面白いネタは拾えなかった.「稲の害虫」で名を売っている程度.
 認知度★★☆☆☆.(マキバサシは☆☆☆☆☆.「マキバサシを応援する勝手連」を結成することに決定.)
 小さいカメムシは同定がやっかいなことが多い.もしカスミカメムシ類だったりすると,わたしの眼力ではオテアゲになりかねない.その点,写真でこのカメムシの「単眼」を確認できたのは幸運だった.これでカスミカメを除外したスタート地点から図鑑調べができた.自力で種名にたどり着けた数少ないカメムシである.

 
 データは1枚目と同じ.
 膜質部(後ろ翅)が透明で薄い.微毛も生えているので陽によく反射する.
 まず北隆館『大図鑑』から.

黄褐ないし赤褐で光沢があり細毛におおわれる.革質部外半は赤褐不透明,内半はやや透明で,脈上に小黒点を散布する.(…)エノコログサその他イネ科雑草に多い.

 アカヒメヘリカメムシの学名の"Rhopalus maculatus"のmaculatusは「斑のある」だから,理解可能な命名である.属名の方は「棍棒」からきているものらしい.ヘリカメムシの特徴の一つである「腿が棍棒状である」こと由来だろうか.ちなみに,この種が属している「ヒメヘリカメムシ科」の科名が"Rhopalidae"でもある.
 『カメムシ図鑑』では.

赤みの強い黄褐色で光沢があり,細い毛におわれている.翅脈および結合板部にある黒点は小さく目立たない.
草むらのイネ科,タデ科,キク科などの植物に寄生する.水田に侵入してイネの穂を吸収する.

 なるほど害虫なのか.『カメムシ図鑑』には黒斑米の比較写真まで載っている.せっかくだから農業関係のサイトも見てみよう.


 なるほどー.平地では大発生しての被害の主力とはならないとはいえ,少数でも確実に食害には参加している模様.
 中心的な活躍はしないくせに必ず現場には居合わせる奴って,良しにつけ悪しきにつけ,どこの職場やサークルでもいそうだ.