No.16:クロマルカスミカメ

 さて,カメムシギャラリーは後半戦へ.いよいよ迷宮のカスミカメムシ科に突入する.


 
 05年7月1日,苫小牧市大沼公園.あまり(=全然)上手く撮れていない.まだ虫を撮り始めて間もない頃の写真.
 ぱっと見てカメムシだろうとは思ったが,まだカスミカメなんて知らない頃.全農教『カメムシ図鑑』もまだ持ってない.「ふたば」で同定していただいたのは数ヶ月後のことだった.
 あまり地味なのでもう1枚.データは同じ.これ以上拡大できない.
 
 黒い.小さい.油断すると小蜂のように見える.
 ネットで情報を集めようとして学名で検索をかけたが,外国のサイトにも画像が見つからない.これはネット的には貴重な画像かもしれない.もっと上手く撮るんだった.とはいえ,駆け出しなので仕方ない.今ならもう少しマシに撮れるだろう.今度の夏に期待.
 クロマルカスミカメの学名は"Orthocephalus funestus".属名が「正しい+頭部」.種小名が縁起悪い.「災いの,葬式の,死の」である.黒ずくめで喪服のように見えないこともないがよくわからない.
 このカメムシ,図版と解説が『カメムシ図鑑』で既に載ってしまっているので,「カスミカメムシ大全」たる『日本原色カメムシ図鑑第2巻』では"Orthocephalus"属の説明と幼生の図のみである.

北方系の属で,(…)わが国には1種が分布するにすぎない.(…)各種は一般に黒っぽい色彩を呈し,♀成虫は短翅型で,丸い体つきとなる.

 ということは,この写真のは♂である.うーん,♀も撮りたいぞ.これも夏回し.
 『カメムシ図鑑』ではこういう記述.

雌雄異形で,雄は長翅であるが,雌は短翅で丸く,甲虫のような外観である.体は黒色で,背面は2種類の毛におおわれる.
草むらで生活し,ヨモギ類に寄生する.

 写真で背中がざらついて光っているのは「毛」のためだと分かるが,「2種類」なのは写せていない.どうもこのカメムシには悔いが多く残る.
 図版を見ると,なるほど♀は丸くてかわいい.よし,絶対探す.