ここにも春蛾.【写真日記虫】

マツツマアカシンムシ

 晴れ.昼休みに社の周辺を探索.10℃ぎりぎり越え位の暖かさ.
 街中だというのにカワゲラが壁を歩いている.小さな蜘蛛やガガンボは常連.


 蛾がいた.シャクガではない.ヒメハマキの類に違いない.5mmよりは大きそうだ.とりあえず何枚か撮る.夕方に行ってみるとまだ同じ場所にいたので,今度は一脚を持ち出して本格的に.

06年4月19日,苫小牧市市街.


 夜,温泉看板は凶作.夜はこいつの同定作業の時間となる.


 ヒメハマキで3月4月から出てくる奴は数いない.
 どうやら「マツツマアカシンムシ」に行き当たった.「ムシ」とついているが,もちろん蛾である.
 ただ,『大図鑑』の写真や,「みんな蛾画像」とは少し模様が違うような感じが.翅後方の赤褐色の紋や,前縁の波がこちらの蛾像ではくっきりしている.
 不安あり.割ときれいに撮れているので「みんな蛾」へ同定依頼に出す.


 引き続き調査.マツツマアカシンムシ成虫の画像がネット上にほとんどないので,学名で検索すると,海外のサイトの画像へ.これだとわたしの画像にほぼ翅の模様が一致する.
 おそらく大丈夫だろう.「みんな蛾」にそのサイトをカキコした.
 ほどなく,そのサイトがスウェーデン製であること,日本のマツツマアカシンムシはヨーロッパ種の亜種とされていることなどの情報をいただいた.感謝.
 ということは,北海道のものは欧州種により近いのかもしれない.もちろん,苫小牧のことだから,外国船から来たてということも考えられる.


 「マツツマアカシンムシ」というのは,松の先っぽに食い込む赤い芋虫(幼虫は全身赤い)「松端+赤+芯虫」か.小種名の"duplana"は「二つの平面・板」で,これは例によって分からない.
 『蛾類大図鑑』から.

幼虫はマツ類の害虫として著名で,局地的で大発生することもあり,特に海岸線にそって被害が多いといわれている.成虫は3〜5月に出現し,年1化.詳しい生活史は害虫専門書を参考にされたい.(pp.131~132)(強調引用者)

 参考にされたされてモナー.(´∀`).
 仕方ないので保育社『日本産蛾類図鑑(上)』(p.58)や,ローカル害虫サイト「北海道森林害虫図鑑」の説明を見ると,こいつらは初夏までに仕事(松の梢をかじること)を終えて,夏はひたすら仮眠,秋・冬は蛹で過ごすという.
 イボタガと生活設計が少し似ている.小さすぎて,地味すぎて話題に全然ならないとはいえ,これも立派に「春蛾」の一員であるらしい.