クモガタガガンボ勉強会【写真日記虫】

yyzz22007-02-11

 さて,首尾良くクモガタガガンボ
ゲト━━━━(゚∀゚)━━━━!


 こうやって雪の上に出てこられると言うことは,樹の根元の雪の切れ目の所にいたのに違いない.となると,幼虫は枯葉の下にいて植物質か動物質かのものを食べて生きている可能性大.
 調べてみよう,と思ったがさっぱり情報がない.
 とりあえず学名の「chionea」で検索してみる(ちなみに属名のchioneaギリシア語の「雪」から.納得).結構ヒットする.
 やや,wikipediaがあった.これが一番手っ取り早そうだ.プリントアウト.一部を訳出してみる.


 英語では連中は「snow fly」と呼ばれるらしい.直訳すれば「雪蝿」だ.ただ彼らは翅のあって飛ぶ小虫を何でも「fly」と見なすから,「雪虫」と訳出した方が正しいかもしれない.


 (昆虫学用語云々以前に英語力がないので誤りがあるはず.指摘していただければ幸いです.また,註の部分は省略しています)

解説
 成虫は冬に出現し,雪上を歩いているのが観察される.彼らは体液中にグリセロールを作って,凍結を防いでいる.


 ♀の雪虫からは200個ほどの卵が見出されており,卵はばらばらに産み落とされる(Schrock,1992).幼虫は森林の枯葉の下に発生する(Marchand,1917).少なくとも幾つかの種では,齧歯類の巣穴で糞を食べていると考えられる(Schrock,1992).


 成虫は,最も冷たい場所を活発に探し[訳者註:Marchandは虫が寒暖どちらの方向へ進むか実験している],口吻を雪に押しつけて水を飲む(Marchand,1917)ようだが,摂食については知られていない.雪虫の成虫は2か月ほど生きる.彼らは分速約1.3メートルで歩き,少なくとも♂は,驚かされた時以外でも跳ねるのが観察されている(Schrock,1992).


 C.alexandrianaの♂は約7mmである.


 午後,ある程度樹の生えている場所なら,雪の吹きだまりにいる雪虫を簡単に見つけることができる.幾つかの種は洞窟の床に大量に見出されている(Schrock,1992).


 この種に翅がないのは,おそらくは,氷点下においては筋肉に飛翔させ続けるだけのエネルギーを生み出すことが極めて困難だという事実によるだろう.また,普通なら飛翔筋のある空間は卵を貯蔵するのに用いられている.しかし,平均棍は失われずに投射されており[訳者註:神経がつながっていることらしい],感覚器官として役立っているのだろう(Schrock,1992).


生殖
 交尾はindiscriminate[訳者註:無差別? イメージできない.昆虫学では一般的な用法?]である.おそらくは異性と実際に出会うのは極めて難しいからであろう.そして30〜70分かかる.翅のあるガガンボでは頭を逆方向に向ける[訳者註:尾を向き合わせて]のに対して,雪虫は多くの甲虫の様に同じ向きになる体勢をとる.このことから,♂の交接器は180度逆向きに曲がる(Schrock,1992).


捕食者
 成虫が冬に現れる一つの理由は捕食者がいないからだと考えられる.だが,「岩コオロギ」(Gryllobattidae)[訳者註:ガロアムシである.画像はたとえばこれ雪虫を食べることが明らかにされている.東カンサスでの3体のC.stoneanaの標本の内の2つから,条虫のシスチセルコイド[訳者註:この類の画像は神戸大学医学部保健学科の「PRASITOLOGY」のギャラリーから「①寄生虫−(Ⅱ)蠕虫−(iii)条虫−小形条虫」参照]が見出されていることから,条虫の宿主であるネズミにも食べられているに違いない.雪虫の方は条虫をネズミの糞から拾ったのだろう.


寄生者
 Rabditisに似たある種の線虫が,成虫の首の回りにできた輪に時々見出される.成虫が羽化したばかりのまだ動けない時に,♀の線虫が虫の首にこの輪を形成すると推測されている.子の線虫はこの輪の中で成長し,これによって散っていく.

http://en.wikipedia.org/wiki/Chionea

 たったこれだけ読むのにえらく時間が… (ノД`).


 というわけで,今日も緑ヶ丘に出撃.朝10時.気温は昨日より少し低くて−1℃.
 珍しく友人が同行.そちらは池のカモが目当て.コンビニで餌付け用食パンを2袋買い込んでいった.
 池の凍っていない所にカモが集中している.コンビニのビニールの音を聞きつけて何十羽も群がってくる.連中は人に貰い慣れていて,友人を取り囲み,ズボンをくわえて引っ張ったりする.カモメも少しいるが彼らは遠くから見ているだけ.


 そんな修羅場に関わるつもりは当方はゼロ.逆方向の林の方に向かう.
 すぐにトビムシ発見(*゚Д゚).

 昨日とは違う種類とはいえ,これもいつもおなじみの奴.1〜2mmほど.知らないと黒い煤の粒にしか見えない.


 いたいた.クモガタガガンボ.今回も林の奥の方ではなく道のすぐ横.

 尾が尖っていて,これははっきり♂間違えた.♀.体長は4mm.

 しばらく追いかけて撮りまくるが,じきに飽きる.
 別のを探そうと思って立ち上がって(雪の上に変な姿勢で座り込んでいた),振り返るとまた1頭.

 こちらは一回り大きい.5mmほど.

 腹がパンパンに膨らんでいて,どう見ても♀だ.ただ,尾が違うのだが.♂の交尾器も見あたらない.よく分からない.もう少し調査が必要.
 どういう具合に産卵するのだろう.ぜひ観察したいものだが,見ていても歩いているだけである.


 友人のカモパンも切れた模様.雪が降ってきた.

もう引き上げよう.こいつらを追跡するのはまた今度だ.


※付記:更に検索していて,「Kansas School Naturalist」に「Snow Flies」(by John Richard Schrock)を発見.交尾の絵もあった.これから読みます.
 2月14日記事に一部訳出.