10匹のピンクマウスは〜 『毒虫の飼育・繁殖マニュアル』(再録)

 昨日に続き,旧ブログから.05年3月21日.
 まだ「虫」に目覚めていなかった頃.


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毒虫の飼育・繁殖マニュアル

毒虫の飼育・繁殖マニュアル

 タイトル通りの本.タランチュラ・サソリ・ムカデ・ウデムシ(まだこの虫を知らない人はgoogleでイメージ検索して見てください.(((( ;゜д゜)))アワワワワ )の類です.あまり見る機会のないクモやサソリの写真を満喫できますが,残念ながらほとんどモノクロ.巻頭にあるカラー写真は小さくてガッカリ.


 写真は不満だが,知識は楽しい.


 子供の頃は虫を飼うのを好きだった.今はとても生き物を世話する時間も気持ちの余裕もない.哺乳類にいたってはどちらかといえば嫌いだし.


 モンキチョウやアゲハを卵から成虫まで育てたり,ヤゴやゲンゴロウを飼ったりした.ボウフラも卵から育てて,さなぎになったところで庭に撒いて捨てた.ボウフラを上手く大きく育てるのは思ったより難しかった記憶がある.カブトムシやクワガタムシのようなメジャー所には深入りしなかった.もともと競争相手の多そうな分野を避ける性癖があるのかもしれない.


 珍しい(妙な)虫を飼う面白さの一つに,飼育方法がまだ確立されていないことがあると思う.『ファーブル昆虫記』の面白さは,取り上げられた昆虫の生態の魅力ばかりでなく,ファーブルが当該昆虫を飼育するにあたっての工夫や試行錯誤にある. 『毒虫の飼育・繁殖マニュアル』を読んでいても,なにしろマイナーな分野だけに未知の領域が沢山残されているのが分かる.別段かわいくもなく(実はかわいいのかもしれないが)なつくわけでもない生き物を飼うのは,そのような探究心・好奇心が背景にあるように思う.


 実際,飼われていると連中は地味で単調な生物らしい.

クモにとって潜りやすい床材を10センチぐらい敷き詰めて飼うのが理想と言えるが,潜らせてしまうと何を飼っているのか解らなくなる.(…)
 (タランチュラ,徘徊性の飼育の項)

シェルターを入れておけば,だいたいその中に入り込み,殆ど出てこない.飼っていてあまり変化のある生き物ではないのである.故に極めて飽きられやすい虫といえよう.
 (サソリの飼育の項)

 虫好きの者なら十分に想像がつくはず.


 肉食なので餌も面倒くさい.これは虫飼いに限らないのだが.ただ連中は給餌においても偏屈である.

元気のいいコオロギ(引用者註:いわゆる餌コオロギ)をタランチュラのケージに入れっぱなしにしておくと,コオロギに齧られる恐れがあるので,それは避ける事.(…)コオロギのアゴを潰したものや殺したエサを入れておくと良いだろう.

 何だか嫌な作業だが,じきに慣れるんだろうな.

給餌の量であるが,成体に過食させすぎると,エサにより内臓が圧迫されて死に至るという話もあるので(…)

 だいたいがあまり働かないのだから,あまり食べなくてよいのである.飼い甲斐のない連中である.


 それでも肉食性だからまだわかりやすいのであって,植物食・腐食物食のヤスデあたりになると,何を食べてくれるものか文字通り試行錯誤で,かなり死なせてしまうらしい.


 わたしは以前からザトウムシ(昔はメクラグモといっていたが差別用語を含むので名称が変わった)を飼ってみたいと思っているのだが,ネットでまだ飼育記録が見つからない.世話をしている暇もないのだが.まだこの虫を知らない人はgoogleでイメージ検索して見てください.きっと見たことあると思います.(((( ;゜д゜)))アワワワワ (ウェブスター『あしながおじさん』の原語タイトルである「daddy-long-legs」はコイツのことである).


 この著作者のHP「Pets!Pets! 〜魅惑の生き物の部屋〜」.工事中の項目が多いが写真は十分に美しく,直接関心のない人でも虫好きなら楽しめる.


 ところで肉食生物(猛禽類・爬虫類・カエル類・クモ類)のエサとして「ピンクマウス」というものがある.まだ毛の生えてない生まれたばかりのネズミの仔を冷凍にしたものである.せっかくだから,これも検索してみる.


 通販してる.例えば「月夜野ファームショップ」のカタログ(現在画像切れ).フクロウとか飼っている人はこんなので冷蔵庫が一杯なんだろうなー.何も知らない人がうっかり扉を開けると面白いだろうな.


 10匹で600円.高いのか安いのか分からない.SSでもSでも値段が同じだし.別の業者のを見るともっと小さいのが1匹36円とかある.


 聖書でイエスがこう言っている.

五羽のすずめは2アサリオンで売られているでないか.だが、その一羽さえ、神がお忘れになるようなことはない.
 (『ルカによる福音書』)

 ネズミのおさな仔たちにあっても,おそらくそうなのだろう.