北海道新聞の記事から.

 北海道新聞,9月11日朝刊の記事.

青森北限のトンボ、室蘭で 温暖化影響か(09/11 08:44)
 【室蘭】青森が北限とされるショウジョウトンボが九日、室蘭市内の池で採取された。渡島・桧山管内でも今年相次いで確認されており、「北海道のトンボ図鑑」の著者の一人で北海道トンボ研究会会員の横山透さん(札幌)は「道内での発見は極めて珍しい。温暖化の影響ではないか」と指摘する。

 ショウジョウトンボは体長約五センチ。真っ赤な腹部と、羽の付け根がだいだい色になっているのが特徴。国内では東北以南に生息している。

 横山さんによると、一九五七年に函館で採取された記録があるだけだったが、今年七月以降、桧山管内厚沢部町と、渡島管内森町で相次いで見つかった。

 室蘭では、多様な生き物が生息する湿地の復元を目指すNPO法人ビオトープ・イタンキin室蘭」が八月下旬、市内みゆき町に造成した池に産卵するメスなど三匹を発見。今月九日にオス一匹を採取した。

 北海道トンボ研究会によると、ショウジョウトンボは今年は青森で多く発生しているという。同じ場所で二年ほど成体を確認すると、生息地域と断定される。

 道内に生息していなかったクロスジギンヤンマが二○○一年以降道南各地で確認されるなど、トンボの世界でも温暖化の影響は顕著に表れているという。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/48663.html


 気候変動というものは長期的に見てナンボであって、ここ数年でどうこう言えるものでないことぐらいはわきまえている。それにしても、このところ「暖かい年が続いている」のは確かで、従来の昆虫の分布区域が使えなくなってきている模様である。
 マスコミに踊らされるのはまっぴらとはいえ、虫系掲示板ではナガサキアゲハの北進がしばしば話題に上ったりしている。さすがにナガサキアゲハはまだだが、苫小牧の蛾のことでいうならば、まだ正式には「本州以南とされている」蛾を,苫小牧でも時々見つけることができる。
 苫小牧は室蘭同様に(北海道の中では)温暖で、港による人的移動の考えられる土地だ。内地の昆虫が侵入しやすい条件はそろっている。これまでは迷虫でしかなかった虫が、温暖に乗じて世代を重ねるようになり始めているかもしれない。
 継続的な、地道な観察が必要なところ。


 追記その1。実は蛾の同定の時に、紛らわしい種については「分布」を大きなヒントをして用いてきた。極端なケースでは、ヨツボシホソバと絶望的に似ているマエグロホソバは分布上はじめから除外であって、「すべてヨツボシホソバ認定」ですませてきた。それができなくなると面倒だなあ。


 追記その2。北日本では越冬できないとされているイチモンジセセリはどうなってきているのだろう。温暖化の指標にはふさわしいと思うのだけど、確認が難しいかもしれない。
 何か情報があればどなたかお教えください。


 関係ないけど画像貼っておこう.
 9月8日.
直翅目
 図鑑を見たけど同定できない.シバスズとかヤチスズとからしい.