苫小牧港のマイマイガ駆除の続報.

 新聞を開いたら,大きく「マイマイガ」の文字と蛾の写真.♂の標本写真だ.モノクロなので見栄えの悪いことはなはだしい.いかにも嫌な蛾に見える.情報操作の一種かもしれない.
 誰が見ても美しい虫であったなら雲行きが違ってくるのだが.


 というわけで,
11月17日記事12月8日記事の続報.
 「ハイリスク港」「マイマイガ検疫」とか,あるいはそもそもの事の次第についてはそちらをご覧いただきたい.

北海道新聞2月27日「苫小牧圏」記事.

マイマイガ 苫小牧は基準下回る 「ハイリスク港」回避へ
 近く3国間協議で決定     なお警戒 除去継続
(……)
米国、カナダ両国によるハイリスク港指定は、日本の植物防疫所が行った捕獲調査の結果をふまえ、近く開かれる三国間協議で決定される。苫小牧港について、同出張所「昨年の調査結果では基準を下回っており、指定はないと思われる」と指定回避との見通しを明らかにした。(……)当面は指定を免れそうな状況だが、苫小牧港管理組合は「来年度以降も除去作業を継続したい」と依然として警戒を緩めてはおらず、引き続き「マイマイガ対策部会」は卵塊除去のほか、殺虫剤散布、幼虫捕獲などに取り組む。(強調引用者)

 ブトボソさんのコメント「春になったら間違いなく殺虫剤で一撃でしょうね」が大当たりになりそうだ.外来生物の恐ろしさはお互い様で理解できるのだが,薬はやめて欲しいところ.
 昨年に職場の庭木でマイマイガの孵化から継続して観察する機会を得た.どんな虫もそうなのだが,実に歩留まりが悪い.卵塊が3つあって幼虫がそれこそ無数に湧いてきたにもかかわらず,夏に蛹を全く発見できなかった.生き延びたものはほとんどいなかったと思われる.捕食圧はおそらく相当高い.
 薬剤を撒いて天敵となる生物まで駆除してしまったら,マイマイガはいつか「大発生」するのではないか.マイマイガはそういう,バランスの乱れを敏感に反映する蛾ではないのだろうか(その爆発力ゆえに検疫対象になったに違いない).
 以前「月刊むし」で見たロシアの森での一面のマイマイガの写真が目に浮かぶ.


 卵塊除去で十分なのでは.管理組合には申し訳ないが,発想の中に「根絶」という文字があっては決してならない.逆の結果が出かねない.


 新聞の写真があんまりだったので,マイマイガ♂の画像.
マイマイガ♂
 07年8月24日.前翅長22mm.模様の変異はかなり大きいらしい.
マイマイガ♂
 こちらは再掲.