ナミシャク特集(49).ミドリアキナミシャク.

 さて「アキナミシャク」の続き.
 姿はほとんど同じだが,フラッシュの下で異なる色合いを見せる.
ミドリアキナミシャク Epirrita viridipurpurescens
 ミドリアキナミシャク.08年11月02日.前翅長17mm.


 講談社『蛾類大図鑑』では次のように記述される.

前種(引用者註:アキナミシャク)よりもはるかに小型で,前翅が淡い緑色をしている.中横線と外横線は多くの場合,帯状に暗化している.
(p.491)

 掲示板の投稿を見ると,前翅の緑色はしばしばあせて灰色になっている.むしろ「胸背」の緑の方が色が濃く,同定のポイントになると思われる.


 ミドリアキナミシャクの学名は Epirrita viridipurpurescens .「えぴるりた うぃりでぃぴゅるぴゅれすけんす」とラテン語式には読むのだろう.いかにも学術的だが,「そこらで見かける普通の生き物」の名前ではない.化石生物なら許されるかも.
 属名は「流れてくる」から.種小名は「viridis 緑の」+「purpureus 紫の,緋色の」+「-escens (状態,開始を示す接尾辞.英語なら−ingである)」.
 「緑紫色をしている」という表現だと思われる.緑紫色ってよく分からない(色見本の本がどこかにいってしまっている).どちらにしてもこの蛾とは違うように思う.


 もう1枚.
ミドリアキナミシャク Epirrita viridipurpurescens
 同日.同個体.おそらく樹幹の地衣の色に適応したもの.顔つきはカギバガを思わせる.