ナミシャク特集(51).(オオ/コ)ナミフユナミシャク.
Operophtera属は,というよりも,そもそも秋から冬のシャクガは似たり寄ったりで紛らわしい.掲示板の投稿を見ていると,フユシャク亜科も同定には神経を使いそうだ.
かつて「ナミスジナミシャク」と呼ばれた蛾がいて,リンネが「brumata(「最も短期間の」の意)」と命名している由緒正しいものだったのだが,分類学はこれもまた前回のクロスジフユ同様「オオナミフユナミシャク」と「コナミフユナミシャク」の2種に引き裂いてしまった.
違うと言われればそうなのだろうから仕方ないのだけど.これがやっぱり区別が難しい.というよりも,切らないわたしにはできなかったりする.
仕方ないのでわたしは「旧ナミスジフユナミシャク」とか「(オオ/コ)ナミフユナミシャク」とか勝手に呼んでいる.こういうことをして恥じない辺りが当ブログの非学問的なところである.
07年11月07日.前翅長17mm.この時期に最も普通に眼にするのは,マエアカスカシノメイガとこの蛾である.
寄ってみる.
アキナミ・フユナミ系の顔.首があまり突き出していずに猫背.眼が無駄に大きい.アキナミのような「いかり肩」にはなっていない.
さて,大波小波でどう区別するかという話.
『大図鑑』以後のことなので,手持ち情報は「みんな蛾」しかない.
(オオナミフユナミシャク)
♂前翅長16-22 (…)
本種は、触角中程から先の節が長く、前翅長は大きく、棲息標高は高い。
(コナミフユナミシャク)
♂前翅長14-17 (…)
本種は、触角中程から先の節が短く、前翅長は小さく、棲息標高は低い。
というわけで,触角は全然見せてくれない.標高と言われてもここは北海道でしかも樽前山の裾野で,高山蛾以外は何でもあり.
というわけで,頼みの綱はサイズ.上の窓でブログを検索してみる(当ブログはそのままデータベースになる優れものなのである).
- 14mm … 2頭
- 15mm … 1頭
- 16mm … 2頭
- 17mm … 3頭
- 18mm … 1頭
1〜2mmほどの測定誤差は考えねばならない.良いポジションで測れることばかりではないのである.
それでも,14mmのものは「コナミ」,18mmのものは「オオナミ」の確率が高いと思う.15〜17mm組は保留というか,ヽ(゚д゚)ノ オテアゲ-というか.
14mmの個体.下翅がいい具合に見えている.
07年11月08日.前翅長14mm.
翅が薄くて,看板の下地の色が透けている.こんな寒空にこんな薄着だというのはおそらくコストの削減なのだろう.