Emmet『英国産鱗翅目の学名』から(11)

 もう人々は悪文と細切れの展開に誰一人ついて来られていないと思うのだが,今更引き返せない.一応区切りがついたら,HPの方に整理する予定である.


<5−4>リンネ以後〜鱗翅目の「属」について.1783年.

  • 1778年,リンネ没.
  • 1783年.2つの上種名が現れる.
  1. 1つは偶然のもののようである.
    • リンネが(※例の)スズメガの第4グループ「adcitae」に置いている蛾のいくつかについて,Retziusが「adcita」という属名を当然のように用い,後,新しい属を立てたものとみなされた.
      • Adscita statices [画像](UK Moths) ※マダラガ科クロマダラ亜科.日本に分布せず.
      • Zygaena filipendulae [画像] ※マダラガ科マダラガ亜科.日本に分布せず.
        • ※マダラガは見るからにスズメガとは異なるから,仕方ない所.そもそもリンネがマダラガをどうしてスズメガに入れたのかが妙である.「他の蛾に比べれば,スズメガに似ている…」とも思えないし.
  2. もう一つは学問的であり,リンネの体系を初めて拡張したものとして重要である.
    • ファブリキウスが「Hapialus(コウモリガ)」に置いた蛾について,Knochがそれを不適とし,「Heterogenea」という完全に新しいfamilyを立てた.
      • 新機軸に注意を引かせるような命名
      • Heterogenea asella(カギバイラガ) [画像](みんな蛾)
    • Knochは時代に先んじていて,この命名はすぐには受け入れられなかった.
  • ※リンネの権威.
  • ※次回は1793年.蝶の話なのでわたしにはあまりピンとこない.