Emmet

7月19日(1)。ハスオビヒメアツバ。およびシュランキア属勉強会。

アルテン温泉看板 ええとねえ,こういうのはミジンアツバなんだ。 ハスオビヒメアツバ。10mm。 『標準図鑑』で正式に亜科扱いになったグループ。 ところで学名が“Schrankia separatalis”である。属名がどう見ても人名由来。調べてみようか。 学名調べのスタ…

Emmet『英国産鱗翅目の学名』から(11)

もう人々は悪文と細切れの展開に誰一人ついて来られていないと思うのだが,今更引き返せない.一応区切りがついたら,HPの方に整理する予定である. <5−4>リンネ以後〜鱗翅目の「属」について.1783年. 1778年,リンネ没. 1783年.2つの上種名が現…

Emmet『英国産鱗翅目の学名』から(10)

<5−3>リンネ以後〜鱗翅目の「属」について.Fabriciusの1775年. リンネ分類に徐々に補足・改変が加えられていく. Fabriciusの,『Systema entomologica(昆虫学の体系)』(1775). 彼は新たな分け方を作ったのではなく,リンネが名付けていないグル…

Emmet『英国産鱗翅目の学名』から(9)

<5−2>リンネ以後〜鱗翅目の「属」について.「Alucitae」の再編. ※リンネの分類体系に加えられていった変更を,これからしばらく追うことになる. ※とはいえ,まだリンネの次世代にとっては,現在の「属」概念はまだ遠い. 例えば1775年のFabriciusによ…

Emmet『英国産鱗翅目の学名』から(8)

<5−1>リンネ以後〜鱗翅目の「属」について.「属」と「科」. ※「個」から「普遍」へさかのぼり,「普遍」から「個」へ舞い降りることで,人間の理性を神の創造のそれに近づけることが分類学のテーマであるといえる.西洋の科学が常にキリスト教にその動…

『英国産鱗翅目の学名』から(7).

<4−4>リンネによる分類と現在の分類との齟齬.「ハマキガ」と「イガ」. (つづき) すべての「ハマキガ」が「平らで小型」ではない.とまっている時に翅を屋根型にするものや翅を巻くものもいる. 多くの翅を巻く種が「イガ(Tinea)」の語尾「-ella」…

『英国産鱗翅目の学名』から(5)

<3−2>リンネとその後継者によるスズメガの分類. リンネは鱗翅目を3つの属,すなわち「蝶(Papilio)」「スズメガ(Sphinx)」「蛾(Phalenae)」に分類している. 「蛾」を更に「研究上」7つに区分した.(<3>で詳述) それ以外にも,「属」に付随…

『英国産鱗翅目の学名』から(6)

<4−3>リンネによる分類と現在の分類との齟齬.「シャクガ」と「メイガ」. (つづき) 「シャクガ(Geometrae)」と「メイガ(Pyraris)」について. 共通点 :翅が幅広い.翅を平らに広げてとまる. 「シャクガ」 :前翅の後縁が腹部へ届くほどだが,腹…

『英国産鱗翅目の学名』から(4)

<4−2>リンネによる分類と現在の分類との齟齬.カギバガとコヤガ. ※単なる「間違い探し」と思うなかれ.現代とは「まなざし」が異なっている. ※このような「違和」や「どっちつかず」の事例が蓄積されてはじめて,新しい学説に命が吹き込まれる. (前…

『英国産鱗翅目の学名』から(3)

<4−1>リンネによる分類と現在の分類との齟齬.「ヤガ」と「メイガ」. リンネは「蛾(Phalaena)」(←そういう「属名」である)を,とまり方や触角によって分類するのだが,それ故に現代の分類とは合わない種が多数出てくる. (以下は原著p.21を元に構…

『英国産鱗翅目の学名』から(2)

<3> 「蛾(Phalaena)」の分類. スズメガについては特筆すべきことはない<3−2>で.ここでは「蛾(Phalaena)」に話を絞る. リンネは「蛾」を,「より容易に探求されるために」7つに区分している. (p.25) ※えらくプラグマティックな表現である.…

『英国産鱗翅目の学名』から(1)

<1> リンネによる,鱗翅目における二名法. リンネは学名に「属名+種名」の「二名法」を導入したと知られる.ただし,現代の学名に慣れている者は頭を切り換えていく必要がある. 今日考えられている「属」の概念はリンネにはない.リンネの「属」は,現…

『英国産鱗翅目の学名』から(0)

ナミシャクのことばかり考えていると精神衛生上よろしくない.頭がナミシャクになるような気がする.ナミシャク研究に一生を捧げるのなら,それはそれで尊いことなのだろうがそんなつもりはない. というわけで,Emmet『The Scientific Names of the British…