『英国産鱗翅目の学名』から(4)
<4−2>リンネによる分類と現在の分類との齟齬.カギバガとコヤガ.
- ※単なる「間違い探し」と思うなかれ.現代とは「まなざし」が異なっている.
- ※このような「違和」や「どっちつかず」の事例が蓄積されてはじめて,新しい学説に命が吹き込まれる.
(前回のつづき)
- カギバガ科の多くは翅を広げてとまり,触角が櫛歯なので,Geometra(シャクガ)内のPectinicornes(櫛歯触角群)に分類された(語尾「−aria」).
※なるほど.こういうシャクガなんだと言われれば今でも通用しそう.
- 翅端が角張った小型の「ヤガ」 → Tortrix(ハマキガ)に.
- Deltote bankiana ※和名「フタスジコヤガ」(アムール亜種が分布)
- 現コブガ科のリンガ亜科と,キノカワガ亜科の一部(※今はリンガ亜科に編入され,Nycteola属)
- [リンガ亜科画像]http://www.jpmoth.org/Nolidae/Chloephorinae/F0000Thumb.html (みんな蛾)
- [旧キノカワガ亜科画像]http://www.jpmoth.org/Nolidae/Chloephorinae/F000Nycteola.html (みんな蛾)
- ※うーーん.どうかなあ.
- アツバ類とされて「メイガ」へ回ったコヤガ..
- Emmelia trabealis ※和名は「キマダラコヤガ」.
- [画像1]http://ukmoths.org.uk/show.php?id=624 (UKM)
- [画像2]http://www.jpmoth.org/Noctuidae/Acontiinae+Eustrotiinae/Emmelia_trabealis.html (みんな蛾)
- ※どちらかというとハマキだと思うのだが.
(p.21)
※コブガ,コヤガは初心者泣かせの蛾である.昔から微妙だったことがしのばれる.
※次回は「間違い探し」をちょっと休んで「リンネとその後継者によるスズメガの分類」について.