ケイさんからの虫メール.

 畏友(こちらは勝手にそう思っている)「ケイの言ってみようか!」のケイさんからメールが飛び込んでくる.あれれ.珍しい.何かというと,彼からのメールやコメントは早朝なのが常なのである.今は,ちょうど夜回りから戻ってきたばかり.えーと,何事だろう.


 メールを開いて,添付ファイルに蛾が2枚.どちらも,なかなかに良さげな蛾ではないか!
スカシエダシャク Krananda semihyalina
モンキキナミシャク Idiotephria amelia
 早くわたしに見せたかったのだろう.わざわざ撮ってくれただけでもありがたいのに,感謝感謝.m( _ _ )m .
 これぐらい個性のはっきりした蛾が,これだけきれいな画像で撮れていれば同定できる.


 1枚目の面白いスタイルの蛾はスカシエダシャク.調べて見ると西日本の蛾,というよりも端的に南方系であって,九州沖縄あたりでは沢山いるようだ.ケイさんは神奈川だから,いるのだろうけど多くはないという相場だと思われる.
 北海道では絶対に出会えない蛾で,やっぱり内地はうらやましい.
 スカシエダシャクの学名は Krananda semihyalina .属名はMooreの命名である.「クラナンダ」はギリシア語のような気がしない.きっとMooreのことだから梵語由来に違いないと思う.種小名は「半ば輝いた」.「透かし」を示したものだろう.


 2枚目は春の普通種であるモンキキナミシャク.とはいえ,北海道ではこれほど色の濃いものはほとんど見つからない.さすが内地.北海道ではどいつもこいつも薄味模様の白っぽい蛾が多い.そのくせ,うどんやそばのつゆは真っ黒である.
 狐のお面の目の無駄に離れた奴みたいな感じである.


 こういう精緻な蛾たちは,見えない人たちには絶対に見えてこない.虫を見ることに心を向けられる人への贈り物のようなものだ.自分のすぐ隣にいる小さな生き物の,美しさや面白さに心が動くことは,その人の生にほんの少しだけの豊かさを付け加えてくれるとわたしは思っている.


 ケイさんはどうやら「虫目力」のランクが上がった模様(賞められたとは当人はきっと思わないだろう).これからも気が向いたらメールをよろしくお願いしますね.カミキリムシの件はもう少し待ってください.