カバキリガ.ウスアオハマキ? コナガ.ウスジロエダシャク.トギレエダシャク.フトフタオビエダシャク.Acleris属のハマキガ.
人工光の下で,一面に塗り込まれたアスファルトや舗石をひたすらさ迷っている当ブログにようこそ.
自然を愛する心をはぐくんだり生命のすばらしさに感動する,分かりやすい地点からはずいぶん遠い所へわたしは来てしまったようです.
20時出撃.快晴.
アルテン馬場駐車場
●シタコバネナミシャク(14).
アルテン温泉看板(1)
●カバナミシャクの類(11).擦れ.看板の正面.踏みそうになる.
●シタコバネナミシャク(16).
コナガ.前翅長8mm.
キャベツといえばモンシロチョウの青虫が相場だったのだが,現在ではこのコナガが最大の害虫であるらしい.生態は,田中寛『コナガ おもしろ生態とかしこい防ぎ方』(農文教)に詳しい.
それによれば,コナガの最大の敵は雨であるという.1日間の降雨で卵の20%弱,3日間(梅雨時以外は考えられないな)で40%が落下する.1〜2齢幼虫での死亡率は50%ほどだが,その原因のほとんどは雨であるとのこと.雨に対する適応ができていないのは,原産地が西アジアの乾燥地帯だったからと考えられている.
難しいエダシャク.
前翅長16mm.フトフタオビエダシャクとしては小さい.
蛾LOVEさんの「ある蛾屋の記録」コンテンツ「似た蛾の比較図鑑」の「Ectropis属」によれば「フトフタオビは大きく,外横線が内側に屈曲している」のに対して,「ウススジは小さく,外横線が一直線に走る」と記されている.
サイズは測れば何とかなるが,外横線はどうにも微妙に見える.眼ができていないというのはこういうこと.慣れれば直観的に判断できるのだろう.
初めは教えてもらわねばどうにもならない.というわけで,また「虫我掲示板」に泣きつく.蛾LOVEさんから明け方近く,「この2種は難しい事を考えるよりも大きさでだいたいOKです^^;」との回答をいただいた.感謝.
というわけで,ウスジロエダシャクに確定.
少なくとも当面春物については,「2cmがフトフタオビ,1.5cmがウスジロ」をガイドラインとする.
覚生川通り
暗がりの舗石の上を歩く作業がまだ続く.
●その他,電柱高所にニッコウエダシャク,ウスベニスジナミシャク,シタコバネナミシャク,アトジロエダシャク.1頭づつ.
●落ち蛾としてシタコバネナミシャク(16).このところ多い.
●電柱にウスベニスジナミシャク(14).
♀の翅が矮化していることから広義のフユシャクに分類されるのだが,苫小牧では4月下旬から出てくる.珍しい方の蛾.
トギレエダシャク.19mm.
温泉駐車場
収穫なし.
温泉看板(2)
ハマキガが2頭増.
その1.前翅長10mm.
Acleris属のような気がするが同定できず.上からは黒点列に見えていたものが,実は黒い鱗塊だったりする.
その2.前翅長9mm.
9月5日のものと同種.「みんな蛾」での「未同定 Acleris sp.」である.
振り向くと,蛾が踏み殺されていた.歩道だから車ではない.こんな場所を今時分歩き回っているのはわたしだけだろうから,わたしが踏み殺したものだろう.
おそらくマダラコバネナミシャク.15mm.
採集して標本を作る人間を非難する言説が時々みられる.
だが採集してもしなくても,人間が動き回るだけで虫は殺されていく.わたしが歩くだけでアリや蛾が踏まれていくし,高橋敬一『昆虫にとってコンビニとは何か?』(朝日選書)での推計では,郊外で車を走らせると1キロにつき100頭ほどの昆虫と遭遇する計算になるとのこと.そのかなりが死ぬだろう.わたしのわずか数分間の運転中にだって,必ず数頭の蛾がライトに飛び込んできて小さな音を立てる.
どうしようもない.気にしてしまえば,生きるというのはそういうこと.
この蛾もわたしも,本当に善かったのは生まれてこないことだったのだ.
昨日のアクセスも半数近くが「マイマイガの駆除」関連のものだった.
うんざりしている.駆除でも絶滅でもすればいいと思う.「どうしてもやりたいこと」は,それを「誰もとめることはできない」と思う.
巻き添えを食う側の立場は? だって仕方ないじゃん.連帯責任みたいなものじゃないかな.「たまたま自分がそれをしなかっただけのこと」だから.