ハエで受粉する話。
飼われているミツバチに,蜂蜜用にせよ受粉用にせよ原因不明の大量死が相次いでいることは,ジェイコブセン『ハチはなぜ大量死したのか』(文芸春秋,2009)を読んで知っていた。
効率的な受粉は葉物根物以外の農家にとっては死活問題である。やっぱり花には虫が一番らしい。マルハナバチを使おうかとか,ニホンミツバチならとかあれこれ工夫されているのも聞いていた。
今朝NHKニュースを見ていて,とうとうハエの利用が始まったという。検索すると,ジャパンマゴットカンパニーという「医療用ウジ虫」を扱っている企業。
なるほど野外で花を見ていると働いているのはハチばかりではない。ハナアブだってハエだって頑張って食事している。
ハナアブよりもハエの方が大量生産には確かに向いているだろうねえ。ハナアブは幼虫が水棲だし,ヒラタアブの人工飼料はコストがかさみそう。人々の偏見が心配だけど,本当なら偏見を持つ方がどうかしているのである。
それにしても真っ先に連想したのは,ビデオゲーム「MOTHER2」(1994)に出てくる「はえみつ(蝿蜜)」だった。
ついでに言えば,その次のニュースネタが「就職塾」で,こちらも二十年ほど前にしりあがり寿がマンガにしている。もちろんマンガの中の塾は「偉い人を瞬時に見分けてお辞儀をする訓練」や「大企業に潜入して名刺を置いてくる訓練」などナンセンスなものなのだが。
優れた感性は時代を予見するものなのか,それとも時代がゲームやマンガにようやく追いついたということなのか。