8月8日割愛画像。ナカスジシャチホコ。ヤスジシャチホコ。キリバエダシャク。クロモンアオシャク。

 車検やら台風の影響やら,残暑見舞いの何やらやら,五十肩がうっとうしいやらで,虫撮り自体がトドコーッテいます。
 というわけで前日分で割愛された錦大沼公園駐車場での補遺画像です。
 m( _ _ )m 。


 久しぶりに「図鑑批評」でもやろうと思う。大きく構えれば「ある種について語られるそのまなざしは如何に変遷させられていくか?」ということなのだが,やっていることは単に「図鑑の解説を順番に読み比べていく」だけのことである。
 【北】=北隆館,原色昆虫大図鑑?(蝶蛾篇),昭和40年初版,7刷使用
 【保】=保育社,原色日本蛾類図鑑(上)・(下),昭和32年初版,昭和46年改訂新版,新版9刷使用
 【講】=講談社,日本産蛾類大図鑑(第1巻),昭和57年初版,第4刷使用
 (…)は略,〔 〕は引用者補注。また下線強調はすべて引用者による。


 ナカスジシャチホコ
ナカスジシャチホコ Nerice bipartita
【北】p.161

 触角は櫛歯状。♀では櫛歯は短い。胸部背面中央に高く突出する毛束がある。前翅中央の白い縦帯はほぼ一直線。前翅長:17〜22mm。本州では6〜7月に採れるが少い。(…)

【保】p.45

 開張33〜38mm。前種〔シロスジシャチホコ〕にくらべて前翅は幅せまく,白色紋は光沢をおびない。幼虫はマメザクラ・ナナカマドを食う。成虫は年2回6〜8月に出現するが,本州では希。(…)

【講】p.614

 ♂の触角は先端まで両櫛歯状。複眼には毛を密生しており,次種〔シロスジシャチホコ〕と異なる。(…)。北海道,本州中部以北および四国の山地に産する。おそらく年2化,7-9月に出現。(…)。ナナカマド(バラ科)を食草とする。蛹越冬。
 (…)

 同定に困難な蛾ではない。争点はシロスジとの相違点で,これは分類上の問題が絡むのだろう。「眼に毛があるかないか」は素人目には結構違うような気がする。
 発生回数がかえってあやふやになったり,発生時期がどんどん後ろへずれ込んでいくのはご愛敬である。真理に近づくプロセスというのはそういうものなのだろう。


 ヤスジシャチホコ。例年は春一番シャチホコなのだが,今年はこれがシーズン初物。
ヤスジシャチホコ Epodonta lineata
【北】p.164

 触角は末端1/5を除き櫛歯状,♀では櫛歯がやや短い。前翅長:20〜26mm。各地に普通。近畿以西の暖地では3〜9月,東北では5〜9月に出現。(…)

【保】p.39

 開張44〜50mm。♂の触角は櫛歯状,♀は短い櫛歯状。口吻は退化して短い。頭および体は灰色の毛につつまれている。前翅の小室はない。幼虫はハリギリ(ウコギ科)を食う。成虫は近畿地方では年2回,4〜8月頃に出現する。中部地方の山地より北では6〜7月頃に出現する。(…)

【講】p.621

 ♂の触角はほぼ先端まで両櫛歯状,♀ではその枝は短い。(…)。1属1種。年2化,5-6月および8-9月に出現。(…),ハリギリ(ウコギ科)を唯一の食樹としており,本科としては異例の食性である。越冬態は蛹。

 【講】における触角の形状の描写訂正(?)はいつものこと。後発者の義務なのだろう。
 発生回数について知見が深まっているのが分かる。当ブログ(苫小牧)でのヤスジシャチホコの記録は5月と8月に集中する。


 後は画像をペタペタ貼ってお茶をにごそう。


 キリバエダシャク
キリバエダシャク Ennomos nephotropa
 初秋の蛾のイメージが強い。この画像はシーズン初物記録用のものなのであまり丁寧に撮っていない。これから何回も出てくる見込み。


 クロモンアオシャク
クロモンアオシャク Comibaena delicatior
 美しいアオシャクなのだが,いかんせん小さい。翅を広げた差し渡しは3cmを切る。


 それにしても気力体力が続かないなあ。ここ1,2年で本当に「衰えた」感が強い。