「シバログ」さんから。

 ツイッターでぼつぼつと「これはひどい」の声が上がってきている。これはひどいので便乗。多くの人が知った方がよい。


 「シバログ(科学ジャーナリスト柴田佳秀のブログ)」さんのところの記事「おいおい!いい加減にしてくれ」。
 独立行政法人科学技術振興機構JST)の「サイエンスチャンネル」担当者が,そこの番組「自然観察の達人」制作者に対して恐るべき条件を付けてきたというもの。


 断片的な引用で失礼。ぜひ全文を読んでほしい。

注文その1
ダンゴムシは、アップになると気持ち悪いから、なるべくアップはさけてくれ。

注文その2
カラスはイメージが悪いから、今回の番組で取り上げるのはダメ

 ※事実誤認があったとのことで原文から削除された。
注文その3。

鳥の糞は汚いから画面には出さないでくれ。

この担当者曰く、きれいな自然の映像を視聴者は期待しているんだとか。


 視聴者をバカにするのもいい加減にしろよ,という感想しか浮かばない。自然にきれいもきたないもあるものか。カラスやダンゴムシを観察しないで,何が自然観察やら。
 担当にとっての視聴者とは,無菌状態の室内でディスプレイを眺めるだけのものであって,実際に野外に出て,気持ち悪い,イメージの悪い,汚いかもしれないミクロやマクロの自然を体験する存在ではないらしい。
 画面を見ているだけで自然科学に通暁できるなら,それはおめでたいとしか言いようがないだろう。


 ダンゴムシにクレームをつけるような御仁は,単に無視すればいいだけのこと。好奇心の枯渇以外の何ものでもない。自然科学になじむには手遅れに違いない。そういう親のところの子供はかわいそうだが。


 そういえば,ずいぶん昔に見たNHK「自然のアルバム」で,ヤドリギの実を食べたヒレンジャクが未消化の種子の入ったどろどろの下利便を垂れ流して,それが新たな宿主となる木にへばりつく様を延々と流していたっけ。
 こんな素敵な画像がJSTではNGとなるわけだな。誠にご同慶に堪えないところであります。


 追記:JSTからの回答があったそうです。http://www.jst.go.jp/goiken/2010/110222.html