「みちのく会@山形」非緊急レポ(2)。「一人一話」前半戦。

(承前)


 タクシーは3回信号につかまって,ぴったり10分間。
 やっと会場着。受付の幹事の人に,ぎりぎり間に合いましたと言われる。参加者32名の内で,予定より遅れたのはわたしとKGさんの北海道2人だけらしかった。ブラキストン線をあなどってはならない。



 人々はプレゼンやる気で満々である。



 大会要項。イラストはババエダシャク。マニアックとしか言いようがない。


 幹事代表と地元の偉い人がアイサツして,それから因習の「一人一話」が始まる。
 わたしは朝早かったし,雪だったし,「クマと遊ぶ」だし,9台もの乗り物に揺られたのでヒローコンパイ。以下のメモはテキトーだからね。
 今見返しても,(。A 。 )ワケワカランノダワ。



 回覧で回ってきた北海道のコケガ。

 右端の亜外縁線の太いのは,わたしは見たことがない。

 キリガ,アツバ,ギンガの幼虫のほとんどは糞を外に落としていくが,糞を残す蛾もいる。
 キンモンホソガ類〔葉潜りである〕は,マツダを除いて糞を残していく。
 コナラキバガも,巣の中に糞をためておく。
 フタスジシマメイガは,巣の両側に残す。擬態の一種?
 カバカギバヒメハマキの終令幼虫は,それまでの糞を用いて巣の補強をするようである。
 ヒメトビネマダラメイガは糞をすべて巣に利用する。
 etc.

 メモが追いつかず。ミクロ恐るべし。

 『日本の鱗翅類』(東海大学出版会)。絶賛発売中。

 注文しました。

 『日本産蛾類標準図鑑』1・2巻が4月発売予定。マクロ編である。ミクロ編は来年。

 amazonで予約が始まってますなあ。出てから買います。



 ♂も♀も,翅型・サイズでは区別できない。『大図鑑』などでは,♀の anal taft(尻の毛束)が前者は黒,後者が白とされているが,実際には使い物にならない。でも切ると2種は全然違っている。〔交尾器でしか区別できないということ〕
 秋田では,ムモンが低湿地,ニセムモンがやや高地の湿地で発生。♂の前翅が淡い茶褐色の場合はニセムモンの可能性が高い。

 「同定が許されるのは小学生までだよねー」というコピーを思い出したりするが,どうでもいい。

 学研の標準図鑑では,食餌植物の分類に新体系(APG)が用いられている。なかなか馴染みにくいのだが,例えばオオノコメエダシャクの食草であるキブシとミツバウツギがAPGでは隣接して置かれており,なるほど良く対応しているのが分かる。

 フタモンコヤガと寄生アメバチとの関係を追跡中。昨年,ある木に10個の繭を見つけ,現在3個飼育中。次は幼虫を探したい。蜂の繭は糸の先にぶら下がっているのだが,その糸がどのように作られたか確認したい。

 ムツトゲイセキグモの番組を作ったNHKから依頼があって捕らえた蛾の同定を行った。どうやらフキノメイガの♂である。
 フェロモンによる化学擬態といわれているが,フキノメイガのシーズン以外は何を捕らえているのが疑問だった。
 NHKのスタッフは放送終了後も取材を継続していて,また蛾が送られてきた。今度は,フタオビキヨトウとスジキリヨトウである。フェロモンの専門家に訊くと,この3種のフェロモンは環が少し違うだけでよく類似しているという。
 ナゲナワグモに限らず,クモの糸はひょっとしたら案外色々な化学物質を出しているのかもしれないと考えると面白い。

 ハゴロモヤドリガを採集。

 会場から「6〜7月にクズの葉の表で繭を見ることができる」とのコメント。


 まだまだ終わらない。予定通りである。続きは次回。


(この項続く)