怪物としての鱗翅(11)。「THE 大量地獄」(つづき)。

(承前。この連載の過去記事は検索:怪物としての鱗翅から)


 コーシンが滞っていますが,先週は,春に卒業していった人々(高校ではよほどでないと留年しない件について書きたいことは色々あるのですが書けません)の「成績その他データ」と「進学・就職先」との突き合わせ作業にかかりきりだったり,『死霊』を拾い読みして涙ぐんだり,カメラの脚の雌ねじがつぶれたので修理に出そうと考えたり,ゴムの木の鉢を結局自宅に引き取ったり,物理教室に移動させた熱帯魚たちが全滅したり,学名がらみでメールが来たり,『日本の鱗翅類』のモルフォロジーのページばかり繰り返し眺めたり,やっぱり文献読みをやらなければならなかったり,やっぱり教員はつまらない人間ばかりだと思ったり,朝晩五十肩が痛かったり,仕事中トイレで吐いたりする不毛な日々を送っていました。
 もう時間がないのだけど,なるようにしかならないわけで,もう削れるのは睡眠時間ぐらいしかなさそうです。眠る暇があれば,もっと積極的に怠けたいです。こんなことなら,若い頃にもっともっともっと怠けておけば良かった。


 というわけで,前回の続きです。
 D3P「THE 大量地獄」は,どう考えても制作者の脳が今はやりのぽぽぽぽーんなこんにちワンコなゲームで,学校で携帯電話をアリス風味のウサギにかっぱらわれた校則違反ミニスカの女子高校生が天罰テキメンに多種多様な虫けらどもにたかられるほとんどACなストーリーです。
 ヒロインの語彙は極めて乏しく,たいていは「うわぁああああひゃあぁぁぁあ」「いやあぁぁぁぁあぁぁぁぁあ」とかです。全身をカマドウマやフナムシスズメバチジョロウグモチャバネゴキブリやクロゴキブリなどの虫に覆われると,ぞわぞわが増えて「失神」します。でも本当はきっと死んでいます。


 というわけで蛾も出てきます。
 画像はニコ動「【PS2】大量地獄 フツーにプレイ Part.01「狂林地獄 前編」」および「【PS2】大量地獄 フツーにプレイ Part.06「迷宮地獄 後編」」から。



 カエル地帯を抜けると蛾です。かがむと虫を回避できるようです。



 眼状紋がクスサンとは違っています。エゾヨツメ? どうしてそんなツウ好みの蛾を?


 別の場所です。ここにも蛾が出ます。

 ヒロインはバットを振り回して,エゾヨツメをなぎ払います。



 死屍累々ですが大丈夫。しばらくすると虫たちは復活します。



 どう考えてもエゾヨツメなんですけど,前翅の紋が見えないです。「点睛を欠く」とはこういうこと。
 蛾にいくらたかられたって,人によってはかえって喜んでしまうかも。


 第1面のボスが鱗翅。

 何だこれは。



 あれあれ。それまでの虫の出来が良かっただけに…。



 出来が悪いので殺虫剤をスプレーされています。



 蛾のHPはもうほとんどゼロです。



 ボスは各ステージの「門番」という位置付け。爆発したりはせず,単に消滅します。


 ちなみに2ステのボスが巨大アメフラシ(ヒロインはフナムシを投げつけて闘う。嫌な攻撃です),3ステが巨大ハエ,4ステが巨大ジョロウグモ(このゲームではジョロウグモは徘徊性),ラスステが巨大ウサギです。何をどうしたいのかよく分かりません。エンディングのオチぐあいも,もちろん全然分かりません。クリアボーナスとして青森弁で喋れるようになります。そういうゲームです。


 この愚かしい連続企画もこれでお終い。大変嬉しいです。


 <結論> 妙に想像してデザインした蛾の怪物はどれも不出来。リアルな蛾の形態がいかに素晴らしいものであるか,こんなゲームを通じてでも感じることができる。制作サイドも,そこら辺が分かっている人は分かっているようだ。


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 さてー,次は「みちのく会」の連載を片付けないと。カメラはトーブンは修理から戻ってこないだろうし。