6月15日補遺。ナカキエダシャク(1)。
さて,ナカキエダシャク。
6月15日,測定せず。
英名は“Scorched Wing”。「焦げた翅」である。なるほど,まあ,そうかもしれない。火事場から拾ってきたぐらいの価値は十分にありそうである。
というわけで久しぶりの「UKMoths」。いきなりEXCITEに翻訳させてしまうのは基本でしかない。
1904の焦げているWing Plagodis dolabraria
(リンネ、1767)
翼幅28-32mm。
焦げた紙か類似物質とのガの架空の類似からこの種のイギリスの名前を得ます。
それは、イギリスとウェールズで広くかなり一般的に時々分配されて、また、もっとも、それほど一般的に起こりません、スコットランドとアイルランドで。
森林地帯に生息して、幼虫は、オーク(Quercus)を含んでいて、さまざまな落葉樹を食べて、(Betula)をむち打って、(シダレヤナギ属の木)を黄ばんだ色にします。
主な飛行の期間は、5月、6月です。 大人達は、火が付くためにしかし、砂糖、通常だけ男性に引き付けられます。
http://ukmoths.org.uk/show.php?id=4210
分厚い本が燃え残った感じなのだろうか。
学名は Plagodis dolabraria 。種小名はリンネだから,由緒ある古い蛾である。
ヨーロッパにもいる蛾なので,Emmet『The Scientific Names of the British Lepidoptera』が使える。仕方ないので拙訳。p.179。
Plagodis Hüber,1823 − πλα´γιοs(plagios),傾斜した。ει’δοs(eidos),形。dolabraria 種の前翅外縁から。dolabraria はヒュブナーが本属に含めた唯一の種であって,その外縁は中央の出っ張りから背中に向かって内側に曲がっている。
Macleod が考えたような「畳まれた翅」への言及はない。彼は P.dolabraria と Apeira syringaria〔イチモジエダシャク〕を混同したのかもしれない。
dolabraria (Linnaeus,1767) − dolabra,つるはし。昆虫学者を悩ませてきた名称。
「翅の模様の形から」(Pickard ら),「翅それぞれの裂け目のような斑と,斧の頭との奇妙な類似から」(Macleod),「斧の翅の蛾」,つるはしの形の翅を持ったシャクガ(Latreille,1804)。
ラトレイユの解釈が正しい。
リンネのコレクションに標本がないということは,つまり彼はこの蛾を自然にとまっている姿勢で見ていたのであるからして,名前が示しているのはとまっている翅の形であって,翅の模様ではない。
例えば,M.W.F.Tweedie(MBGBI7(2),Pl.C,fig.8)〔『The Moths and Butterflies of Great Britain and Ireland』,Wikipedia参照〕の写真を見て,その腹部を馬鹿馬鹿しいほど引き伸ばして柄のようにした様を想像すれば,斧の頭が現れてきて,それぞれの翅の外縁上半分の四角形が刃となるだろう。
本当だかどうだか判断できませんが,そうだそうです。
「図鑑批評」は次回に回して,せっかくだからリンネの原記載文も訳しておく。
Carl von Linneé,『Systema naturae, per regna tria naturae (ed.13)』,vol.1(2),p.861。
dolabraria 207.
http://biodiversitylibrary.org/page/462327
シャクガ〔Phalaena. Geometra〕。櫛歯状の触角,翅は薄黄色で,錆色の線条が散布される。翅後部は菫色。
ドイツのカシに生息する。D. シュレーバー〔Johann Christian Daniel von Schreber,ドイツの自然学者。Wikipedia参照〕。
Media.〔訳出できず。orz〕。胸部は黄色みをおび,前方は暗い菫色。腹部下面は赤みがかり,尻は暗い紫色で直立する。翅には丸く曲がった線が薄汚れた感じで広がる。上翅前面は黄色みをおび,沢山の,密で不揃いな線条が散布され,菫色の曲がった線が錆色の斑へと並んで走る。裏面は一層黄色く,線条が一層赤い。下翅はより白みが強い。
「薄汚れた感じで」の原語は“obsolete”。Lewisでは“in an old or worn-out style”とされており,要するに着古して汚れたりくたびれたりした服のイメージ。
というわけで(2)に続きます。