プライヤハマキ小勉強会(続き)。
というわけで,ウォルシンガムによる「The Annals and magazine of natural history; zoology, botany, and geology」,7th ser. v. 5 ,1900の「Lord Walsingham on Asiatic Tortricitidae」の Pryerana 種と affinitana 種の記載文の読み比べ。
現在から見れば同じ種なのだが,何しろ彼は Pryerana は新種だと思っている。どう書き分けているのだろう。
直訳だと字だらけで読みにくいので,表にまとめる。
「黄土色」は,原文では“orchreous”で日本人が考えるよりも範囲が広い。オレンジと茶色の間ぐらいまでは平気で「オーカー」(「WEB色見本 原色大辞典」より)と表現するようだ。純色だとハマキガの色と微妙に違うのだが,近いと言えば近い。
さて,比べてみるとやっぱりあまり違っていなさそうだ。
記載者がはっきり相違点としているのは「三角形の紋」なのだが,でも前回の画像を見れば分かるように,affinitana も三角紋である。
思うに,affinitana の多様性に関する記述がないところを見ると,おそらくは affinitana 種のサンプル数が不十分だった可能性が高い。日本や中国からイギリスへはるばる送られてくる限りある標本を相手にしているのだから仕方ないのだろう。
更に他のハマキガの記載を調べてみれば,「記述を読んだってどれもこれもみんな同じじゃん」などということになりかねない。とりあえず今のところは深入りを自粛。
というわけで,ハマキガのごたごたからはしばらく距離を置くことにしたい。