カギバガの触角の確認(3)。エゾカギバおよびその属名。

 というわけで11月は完全失踪していました。
 何かというと,全道高校ボランティア研究大会。愚かにも抗うつ剤服用者のわたしをチーフになんぞするものだから,(依頼した講師の方々には申し訳ないのだが),案の定ズタボロのごくごくご立派な結果となった。暴動が起こらなかっただけ儲けものだった。
 金関係と礼状関係は済んだけれども,上部組織への報告書はまだ作っていない。やりたくない。昨日だって朝動けなくて欠勤したんだ。


 というわけで,またリハビリから。テンションは低いからね。
 というわけでね,エゾカギバですよ。前回のマエキカギバとは違って,♂♀の画像が丁度そろった。
エゾカギバ♂触角 Nordstromia grisearia_anntena
 2007年8月28日。♂。
 櫛歯にもいろいろあって,ドクガ系などは先端まで櫛がそろっているのに対して,この蛾の様に半分強の所で櫛をコストカットしてしまうものも結構ある。
 ドクガやヤママユほど強力なレーダー機能を必要としていないのかもしれないし,あるいはこの程度なら能力に大差ないのかもしれない。
エゾカギバ♀触角 Nordstromia grisearia_anntena
 2009年6月3日。♀はこの通り。


 ところで,属名の“Nordstromia”について。調べると原記載では「Nordströmia」とウムラウトがついているらしい。あれれ。
 「Butterflies and Moths of the World NORDSTROMIA」の項目にはこうある。(拙訳)

 フレッチャー(Fletcher)(1979)は述べている。
 Nordstromia は,スウェーデン名 Nordström(訳註:ノルドストレームと読むらしい)に由来するのであって,ドイツ語由来ではない。したがって,命名規約32条(c)(i)によりダイアクリティカルマークの削除のみが要求される。

 つまり何のことかというと,「国際動物命名規約 第4版 日本語版[追補]」を見ると,

32.5.2. 区別的発音符などの記号,抱き文字,アポストロフィ,ハイフンなどを伴って公表された学名や,どれかが略記である場合を含め分離した複数単語として公表された小名は,訂正しなければならない。
 35.5.2.1. 区別的発音符などの記号の場合は,当該の記号を取り払う。ただし例外として,ドイツ語単語に基づいて1985年よりも前に公表された学名においては,ウムラウト記号を母音から取り払い,その母音の後に“e”を挿入する(ある学名がドイツ語単語に基づいているといるという疑いが少しでもある場合,そのように扱うものとする)。(p.35)

 ドイツ語は特別なんだなあ。
 というわけで結論。属名はスウェーデン人の固有名詞由来。「ノルドストレーミア」と発音するのが至当。Frithiof Nordström のことかもしれないが不詳。


 ※HP記事を書き換えなければならない。嗚呼。orz。