カバエ勉強会。

 昨日のハエについて,zatouさんからコメントで「カバエです」とのこと。
 双翅は手に負えない八幡の藪知らずだと思っているので,こういう情報は大変ありがたい。というわけで,少し調べておこう。
 再掲。
双翅の類


 日本のサイトで双翅は「一寸のハエにも五分の大和魂」が権威。読んでみたが,脈翅相レベルの話はわたしには無理。


 結局,外国文献頼り。
 オーストラリアのサイト「Australasian/Oceanian Diptera Catalog -- Web Version」の「Anisopodidae」から整理(ほぼアウトラインにしただけ)。

  • 16.カバエ科(Family ANISOPODIDAE)
    • B. V. ピーターソン(Peterson)
  • カバエ科は,痩せた長い体と長く細い脚を持つ,小型・中型(2〜18mm)の羽虫からなる原始的なグループである。
    • 頭部:♂♀とも3対の単眼。中程度の長さの触角。
    • 翅:黒い紋を持つことが多い。
  • 成虫は,幼虫の生息地付近や,湿地,森林の周辺,またしばしば樹の傷のどろどろの液に見いだされる。
    • ♂は蚊柱を作り,♀は湿った場所ならほとんどどこにでも産卵する。
  • 幼虫は双気門型(※体の前後に気門を1対ずつ持つ),細い紡錘形で,約10〜20mm。
    • 腐食性で,湿り,腐敗している,または発酵している有機物の中に発生する。
    • Sylvicola 属の幼虫による,腸や尿生殖器蝿蛆症(※ハエの幼虫の体内寄生)の報告がある。
  • 繭を作らず,生息場所で蛹になる。
  • ファレート成虫(蛹の中で成虫の体が完成しているもの)は活発に動いて表面に出てくる。

 やはり,素性のよい昆虫ではない。要するにケバエの同類と思っていてよさそう。

  • カバエ科は分類的にも命名的にも不安定だった歴史を持つ。
    • 幾つかの種はガガンボ科・ケバエ科・キノコバエ科へ入れられていた。
    • 現在では他の科に分類されている種を含んでいた。
    • 現在カバエ科とされる種の幾つかはかつて1つあるいは5つ以上の科名で示されていた(※科名がカバエのシノニムに落とされたということだろう)。
      • Valseguya 種は最近(2006),固有の科である Valseguyidae 科に移された。
  • カバエ科は小さな種であるが,広く分布している。
    • この科は6属で,約100種が記載されている。

 以下略。
 「みんなで作る双翅目図鑑」(上記)によれば,日本のカバエ分布は Olbiogaster 属1種,Sylvicola 属8種の,2属9種である。


 ちなみに,科名の Anisopodidae は「異なる脚」,属名 Sylvicola は「木に住むもの」の意。