カワゲラの類。イチゴキリガ。ミスジキリガ。ナカグロホソキリガ。カタハリキリガ。フタマタフユエダシャク。チャオビコバネナミシャク。エゾミツボシキリガ。カバイロミツボシキリガ。ムクゲエダシャク。サカハチトガリバ。オカモトトゲエダシャク。

 生暖かい日が続いた。この土地の気候は信用ならないのだが、でも日中は20℃を越えた。夜になっても暖かい。風もない。これでは虫撮りに足を伸ばすしかないのだった。
 
 20時少し前に出撃。
 丸瀬布への道すがらは堆肥のにおいがする。どんな作物を作っているかは分からない。
 幸い、鹿も狐も道路に見かけない。彼らが飛び出してくれば、わたしの反射神経は彼らを一匹残らず殲滅してしまうに違いない。虫以外の生死にはあまり心が動かない。
 

丸瀬布道の駅

 金曜夜だというのに、駐車場は閑散としている。トイレの前に1台。
 右手の路灯には虫気なし。無理に探して大きめのカワゲラを発見する。23mm。大きい。
カワゲラ Plecoptera
 夜の方が普通に撮れるように思う。カメラの設定とわたしの撮り方が色々と夜に特化しているらしい。
 
 場所替え。トイレ左の明かりに蛾が数頭飛び交っている。木製の標識が最大の蛾ポイントである。
イチゴキリガ Orbona fragariae
 イチゴキリガ。28mm。ぽかんと大きくて色の淡い、春キリガの女王である。これは幸先がいいぞ。
 
 高い場所にトガリバ。春はトガリバの季節でもある。
ミスジトガリバ Achlya flavicornis
 ミスジガリ。黒く写っているが、本来は白っぽいふわふわした感じの蛾。これも「早春もの」である。
 
 とにかく、色々な種類の蛾が一時に現れてくる。北国は春も夏も突然に訪れ、呼応して虫もいきなり出てくる。
 昨年には未確認だった蛾が多い。昨年は5月のナミシャクエダシャクから丸瀬布をスタートしたためだろう。
 
 地味な越冬蛾2種。
ナカグロホソキリガ Lithophane socia
 ナカグロホソキリガ。19mm。この夜もう1頭。
カタハリキリガ Lithophane rosinae
 カタハリキリガ。20mm。白味が強いが、北海道ではこんな感じが普通。
 
 コバネナミシャクはまだ早いらしい。ほとんど見かけない。
チャオビコバネナミシャク Trichopteryx terranea
 チャオビコバネナミシャク。Trichopteryxはこの1頭だけ。
 
 ○マルハキバガの類。割愛。
 
 少し高い箇所。測定はできないが同定はできる。
フタマタフユエダシャク Larerannis filipjevi
 フタマタフユエダシャク。晩冬の蛾。これとトギレフユでフユシャクはだいたいお終い。
 
 これはエゾミツボシキリガ。脚立を投入しようかどうか迷ったが、やめておく。明らかに不審なんだよなあ。でも次回はやる。
エゾミツボシキリガ Eupsilia transversa
 
 こちらは落ち蛾。20mm。
カバイロミツボシキリガ Eupsilia boursini
 カバイロミツボシキリガに見える。そうならば初見である。現場では全く気づかなかったので2枚しか撮っていない。もう1枚はこんな画像。
カバイロミツボシキリガ Eupsilia boursini
 同定には使えない。この後,駐車場から移動させる。
 
 施設の裏手はあずま屋があって,自然公園のようになっている。
ムクゲエダシャク
 分からない。シロシモフリトゲエダシャク? 至近距離で撮れない蛾の同定はきわめて怪しい。
 ※おそらくムクゲエダシャク。 だんちょうさんの「こんちゅう探偵団」記事で発見。感謝。
 
 これがこの夜のクライマックス。
サカハチトガリバ Kurama mirabilis
 とはいっても,普通種のサカハチトガリである。ずいぶん久しぶり。調べてみると8年振りである。
 

瀬戸瀬無人

 駅舎には虫気がない。どうもダメである。
 跨線橋もはかばかしくない。蝶が死んでいる。
エルタテハ 死骸
 エルタテハだろう。地味な春蛾をさんざんみた後なので蝶の翅の鮮やかに驚かされる。蝶の愛好家が多いのもこれでは仕方ないと思える。
 
 オカモトトゲエダシャクがいた。春の到来を告げる蛾だ。この蛾に出会わないと早春は点睛を欠く。
オカモトトゲエダシャク Apochima juglansiaria
 でも変な蛾。どういう適応戦略の産物なのか見当がつかない。適応とは無関係なのかもしれない。
 この下にカバナミシャクが1頭いたがスルー。
 
 往復で50キロ弱。環境負荷の高そうな虫撮りである。