ウスベニコヤガ.ギシギシヨトウ.フタスジアツバ.ミスジシロエダシャク.

 (7月10日記)


 明日(7日)はイベントで21時頃まで帰れない.何だか薄ら寒いのだが出撃しておく必要がある.体力だって明日以降は残っているかどうか分からない.
 大体が,わたしには仕事は色々と無理なのである.


 <温泉看板>
 この夜はカギシロスジアオシャクが目立った.都合3頭.美しいグリーン.せっかく目が見えるにもかかわらず,一生この色の蛾に気付くことなく終わってしまう人が沢山いるに違いない.縁がなかった,というより仕方ない.縁があった人々は幸いである.

 ウスベニコヤガが出てきていた.2頭.前翅長11mmの三角形.
ウスベニコヤガ
 この蛾は昨年始めて撮った時に,同定が大変だった記憶がある.
 なかなか工夫した模様なのだが絵心があまり感じられない.シンプルな方が美しく感じられるのは,要するに脳での情報処理が楽だからだ,と『日経サイエンス別冊』に書いてあった.


 <駐車場>

 表示板の脚に見慣れない蛾.ハガタアオヨトウに似ているがどうも違う.緑部分が少ない.紋が肌色.後角の黄帯がない.
ギシギシヨトウ
 さんざん探して,ギシギシヨトウである.前翅長17mm.いままで名前のみ知っていた蛾.なるほどねえ.

 ・エゾシモフリスズメ*X.クルマヨトウ*2.キマエクロホソバ
 ・ギンモントガリバ(20mm).ハネモンリンガ(16mm).オオミズアオ.これはこの夜1頭のみ.
 ・チビヒメナミシャク(9mm).リンゴツノエダシャク(24mm).
 ・ギンモンミズメイガ(8mm).やっぱりウスグロアツバ(15mm).
 


 <温泉看板つづき>
 いろいろ細かいのは割愛.

 一枚で逃亡.測定できず.このぐらい個性があれば類似種さえいなければ1枚で十分である.
フタスジアツバ
 フタスジアツバ.画像では黒っぽいが,眼視では焦げ茶色に近い.この蛾は2日後の8日にも来ていた.

 ・めくったらやっぱりアカハラゴマダラヒトリ.かなり減ってきた.
 ・わからなそうなノメイガ.ディスプレイを見てがっかり.
 ・モクメヨトウに見えるが典型的な模様ではない.確信なし.未同定へ.(´ー`)/~~.
 ※マダラキヨトウ.(7/17)


 <温泉駐車場>
 ・ルリモンシャチホコ(25mm).コンビニでもう1頭.

 車のドアに白い中型の蛾.裏面も腹も真っ白だが,前翅にわずかに黒帯が見える.撮っておこう.
ミスジシロエダシャク
 とりあえずドアから地面へ移動.翅は頑として開かれない.隙間から.
ミスジシロエダシャク
 薄い黒帯が4本で模様のすべてらしい.前翅長20mm.
 調べてミスジシロエダシャク.翅も薄地ではかない印象.


 ちょうどMatszさんのブログ「トンボと蛾の日々」でヒョウモンエダシャク(わたしは未見である)が取り上げられていて(7月7日記事「百蛾夜行 第四巻」),

ヒョウモンエダシャクはチョウっぽいメジャー感の漂う蛾だが、よくよく見ると、前翅は白地に墨を吐いたような色合いである。墨の黒という色と白の織りなす色世界は幽霊画などにも見られるが何ともいえず不気味でその配色を見ると本能的に恐怖感を感じる。美しくもあるが怖さも持った蛾と感じる。

 蝶や蛾は人間の魂が姿を変えたもの,あるいは魂を「向こう側」に導くものと見なされたという.例えば,高橋秀元「ISIS立紙篇・言葉の景色」02年5月1日記事から.

 日本においても、蝶や蛾は魂の実体と見られていたにちがいない。そのような事実の言語化は避けられていたのだから記録はないが、スクナヒコナ伝説にわずかにあらわれる。スクナヒコナは、オオクニヌシが国造りをするにあたって、その霊魂として遠い彼方の世界から流れついた。この小さな神は植物の茎を船として、「ひむし」(蛾)の皮を着て到来した。その姿はプシュケー(引用者註:ギリシア語で「霊魂」)そのものだ。

 Matszさんの画像の,群がるヒョウモンエダシャクたちは白黒の装束をまとった魂たちのように美しい.人は死ぬとその魂は一度は山に向かうのだろう.
 このミスジシロエダシャクや,先月27日のオオシロエダシャクもまた,向こう側の存在であるように思われる.きっとヒョウモンエダシャクがくっきりした模様を持ったまだ死んでまもない人々を担っているのに対して,このミスジシロエダシャクはもはや生気が希薄になっている向こう側からの来訪者かもしれない.


 そういえば,朝のコンビニの壁でキドクガを確認.
 もう一つそういえば.【写真日記虫】はわたししかやっていないのでやめ.見出しの長さを節約することに.