クシヒゲシャチホコ.旧ナミスジフユナミシャク.クロネハイイロヒメハマキ.

 帰宅が7時少し前.今日は朝8時から夜6時半まで休憩なしのあれやこれやのノンストップ労働だった.食事も書類を読みながら.15分くらいは上司と雑談したかなあ.
 というわけで,20分ほどボーゼンと部屋と体が暖まるまで待つ.さて出撃.


 <駐車場>

 今夜も(゚д゚)イタイタイタ
クシヒゲシャチホコ
 クシヒゲシャチホコ.16mm.触角を見せていない.
 さて,シャチホコといえば,北隆館『コンパクト版 原色昆虫図鑑II』を逃すことはできない.執筆者はこの蛾においてもアドレナリン分泌しまくりである.全文引用する.

羽根の薄い蛾が木枯らしの吹く高尾山麓に舞う.11月下旬〜12月上旬に羽化して青春を謳歌し,やがてカエデ属の樹幹に卵を産む.幼虫は若葉で育つ.次種(エゾクシヒゲシャチホコ:引用者註)に比べて,発生期が遅く,翅も明らかに違い,内・外横線は白線とならずその間は濃色.前翅長16〜19mm. (p.12)

 出だしの高揚したレトリックばかりではなく,後半のごたごたした破格の文章もわたしには魅力的である.これは詩のことばに近い.語ることの欲望と字数制限との美しい出会い.こういう文体を自在に使いこなせるようになりたいものである.
 保育社『蛾類図鑑(下)』だと,大分雲行きが違う.

♂の触角は羽状,♀は殆ど絲状.口吻は退化している.体は細くて弱々しい長毛におおわれる.翅もまた弱々しい.前翅の小室はない. (p.38)

 うーん,ネガティヴだあ.
 ところで♀触角が糸だという話.これまでわたしが見た個体はすべて♂ということを意味する.上の画像もよく見ればクシヒゲが少しのぞいている.♀が見つからないのはどうしたことだろう.あるいは♀は光に来る性向がないのかもしれない.
 学名は Ptilophora nohirae .属名は「羽毛+泥棒」.羽毛のある盗人なのか,羽毛専門の泥棒なのか,これだけでは分からない.どちらでもあっても面白い.
 小種名はについては,講談社『蛾類大図鑑』から

学名は最初の標本提供者野平安芸雄に因む. (p.625)

 なるほどねえ.ゆかりの人たちにとっては面白いのだろうな.

 毛虫.
毛虫
 蛹になりそうな雰囲気.こんなところで蛹化してはまずい.ここはベンチである.駆除されるよ.
 ※新屋さんから「ナシケンモン」とのコメント.ありがとうございます.

 ・旧ナミスジフユナミシャク.16mm


 <温泉看板>

 ここでも旧ナミスジフユナミシャク.14mm
旧ナミスジフユナミシャク
 この夜は更に2頭.16mmと14mm.さっきのと合わせて4頭.

 珍しい.ハマキガである.今シーズン,ハマキもあまり撮らなかったなあ.後悔.
クロネハイイロヒメハマキ
 案の定,同定があれなのだがおそらくクロネハイイロヒメハマキ.前翅長8mm.
 口吻のある蛾は久しぶりのような気が… .もう花はないのだが,朝露ぐらいは飲めた方が生はきっと楽しいに違いない.


 股引をはき忘れたので寒い.覚生川通りはパス.


 <錦大沼公園トイレ>

 昨夜から昼明かししたのだろうか.ほぼ同じ場所.
クシヒゲシャチホコ
 またクシヒゲシャチホコ.また触角を畳まれると嫌なので測定せず.
 「羽根団扇〜,凄いなあ」である.これはエゾクシヒゲシャチホコにはちょっとマネできそうもない.
 これは触角としては趣味の領域だな.