クシヒゲシャチホコ.ゴマダラキリガ.ミヤマミダレモンハマキ.ウラベニヒラタマルハキバガ.

 夜8時.カメムシの幼虫の画像をネットで散々探して頭が痛くなってきた.
 アルコールを心が欲しがっている.自分はきっと依存症である.体は嫌がっている.これから飲むと考えただけで吐き気がする.飲むと死ぬような気がする.でもそんなことはないような気もする.飲んでしまえば何とかなると思う.
 酒を買いに行こうと玄関を開けた.雨かと思っていたが,曇り空だ.あまり冷え込んでいない.街灯の灯りが目に入る.
 そうだ,蛾を撮りに行こう.心も体も弱っているけど何とかはなるだろう.行かなければ飲んでしまう.


 まず<錦大沼公園駐車場>から.

 また「頭隠して」.虫だから,という言い訳はいつまでも通用しないんだけど.
クシヒゲシャチホコ
 クシヒゲシャチホコ.測定サボり.「後翅が薄くて半透明である」という話があるが,右後翅が少しだけ見えている.さてどんなものか.
 胴体にスダレのように下がっているのは触角のヒゲだから♂.
 この夜は,この後+3頭.


 11月だが,蛾はまだ途切れない.
 札幌からは雪の便り.苫小牧はもう少し先になると思う.昨年の今頃は更新をとどこおっていた.めぼしい虫はもう出ないものだと思っていたこともあるし,ネット碁の大会に首を突っ込んでいたということもある(わたしの旧ブログは「囲碁日記」だった.アクセス数が今の倍近くあった).
 クシヒゲシャチホコ辺りは昨シーズンにとっくに出会っていておかしくない蛾.先入観によって見えるはずのものが見えなくなる.


 <アルテン駐車場>
 ・これも♂のクシヒゲシャチホコ


 <温泉看板>
 ・横線が真っ直ぐに入った黄灰色のシャクガ.おそらくクロスジフユエダシャクだが,カメラの脚を伸ばしている隙に逃走した.この虫は日中すぐに逃げるので撮るのが大変な蛾だが,夜でも逃げる.

 ハマキガと即断.実際は微妙に外れて「ヒメハマキ亜科」だった.『大図鑑』がなければ途方にくれていたところ.
ダイズサヤムシガ
 ※コメントで「いもむしうんち」のAclerisさんから「ミヤマミダレモンハマキに一票」とのご教示.感謝.
 調べてみると秋に出てきて越冬する寒地系の蛾.『大図鑑』の図版をみると,変異だらけのすごい蛾である.確かに胸背のあたり,翅の脈線のあたりからなるほど.これはハマキの場数を踏んでいないとまず分かりっこない.(つД`).やっぱり来年はハマキガを頑張って撮ろう.
 という訳で↓は没記述.もったいないので残す.

 Matsumuraeses属の蛾.かなりの確率でダイズサヤムシガだと思われる.前翅長8mm.
 マメ科の植物の莢に食い込む害虫とのこと.分類および生態については農林水産研究情報センター「農学情報資源システム(Agropedia:アグロペディア)」の「子実害虫の発生生態と防除 マメシンクイガ」が詳しい.また「みんな蛾」の「ダイズサヤムシガ」の項では,「成虫越冬らしく、晩秋によく見かける」という意見もある.個人的には越冬してもおかしくないと思う.ハマキガ類は早春から結構見かけるのだから.


 <覚生川通り>

 手頃な高さにいつものキリガ.
ゴマダラキリガ
 常連のゴマダラキリガ.13mm.
ゴマダラキリガ
 渦巻きの口吻.行ったっきりのフユシャクやヤママユと違って,長期戦の越冬隊には栄養補給が必要である.でも水くらいしか手には入らないだろうなあ.運がよくて樹液か,新鮮な鳥糞か.

 脚立動員.どこかで見たことあるような個性的な模様.慢性的にアルコールで腐れた海馬が「マルハキバガ」と酒臭い息でささやく.
ウラベニヒラタマルハキバガ
 はたしてウラベニヒラタマルハキバガ.ひどいネーミングだなあ.分かりやすいことは確かだけど,これじゃあ名前じゃないよ.
 前翅長12mm.結構大きく,目だつ.
ウラベニヒラタマルハキバガ
 牙がはっきりしているので,ハマキガと違うのは一目瞭然.ひっくり返すと裏が赤っぽいのが名前の由来らしい.ぺったりしているのでそこまで撮れない.
 これも越冬隊の仲間.


 コンビニ(クシヒゲシャチホコ.撮らず)で「麦茶」と「柿の種」購入.
 アルコールは回避した.